オジー・オズボーン、AEGに対する集団での独占禁止法訴訟を取り下げ

AEGへの集団訴訟を取り下げたオジー・オズボーン(Photo by Shutterstock)

オジー・オズボーンは巨大コンサート企業AEGが公演会場の一括契約の終了に同意したことを受けて、反トラスト(独占禁止法)の訴訟を取り下げた。これにより、今後は誰でも米ロサンゼルスのステイプル・センターの予約なしで英ロンドンのO2アリーナを使えるようになった。

オジー・オズボーンは、コンサートプロモーターであるアンシュルツ・エンターテイメント・グループ(AEG)が、これまでの同社所有のコンサート会場の一括契約を終了することに同意したため、同社を相手取った反トラスト(独占禁止法)訴訟を取り下げた。

この訴訟が裁判所に提出されたのは2018年3月。オズボーンはロサンゼルスのフォーラムでさよならツアーの公演を行うことを希望していたのだが、AEGは同社が所有する同市のステイプル・センターを使うことを強制したために起こされたものだった。ステイプル・センター公演を実施しないとAEG所有のロンドンのO2アリーナでのコンサートを保証しないという条件が付いていたのである。ちなみにフォーラムを所有しているのはAEGではなく、彼らの競合会社マディソン・スクエア・ガーデン・エンターテインメント(MSG)だ。

8月に入って、AEGが無条件でこの訴訟を取り下げさせる申請をしたが、裁判官がその申請を却下した。しかし、オズボーンの弁護士ダン・ウォールが現地時間9月21日にこの一件で今後訴えることはないという条件を提出した。つまり、オズボーンは後日同じ懸案で訴訟を起こせないことになる。

バラエティが報じたところによると、AEGがステイプル・センターとO2アリーナの同時予約を強制する契約を撤回すると同意したことを受けてオズボーンが訴訟の取り下げに同意したとのことだ。「シャロン(・オズボーン)とオジーはこの結果に満足しており、今後この問題をほじくり返す必要性も感じていない」と、弁護士のウォールがバラエティに話した。

訴訟が取り下げられてから出されたAEGの声明では、オズボーンの反トラスト訴訟のきっかけとなったとしてライブ・ネーション、マディソン・スクエア・ガーデン・エンターテインメント、アーヴィン・アゾフに非があると述べている。そして、今後もアゾフが「アーティストに圧力をかけてフォーラムを使うように仕向ける戦略」を続けるのなら、AEGはいつでも一括契約ポリシーを再稼働させると警告している。

「9月21日にオジー・オズボーンがAEGを相手取って起こした集団訴訟を取り下げた。今後同じ懸案での訴訟を起こせないことはAEGの勝利である。当社のポリシーの正当性を証明すべく、この懸案を十分に検討する準備が整っていた。しかし、同様懸案での今後の訴訟なしでこの訴訟を取り下げるとオズボーンが決断したため、この一件は解決した」とAEG。

「今回のオズボーン訴訟はアゾフによって誘導され、経費はMSGとライブ・ネーションが負担した。自分が何を噛み切ろうとしているのか、まったく知らなかったアーティストをけしかけて行われたものである。この訴訟は明らかに広報活動上の戦略だったが、彼らはAEGにブッキング契約ポリシーを曲げさようと圧力をかけることに失敗した。そもそも、件の契約ポリシーは、MSGとフォーラムの結束に対処するために競合会社として行った当然の反応である」

そして、次のように続けた。「AEGが一歩も引かないと決断した途端に、アゾフ、MSG、ライブ・ネーションが訴訟の取り下げに動いたことは驚きに値しない。彼らはAEGが積極的に抗弁すること、それによって膨大な費用が必要になること、裁判の途中で彼ら自身の不可解な戦略が暴露されて辱めを受けることに気付いたために、今回の訴訟を取り下げたのである」。

オズボーンがロサンゼルスで行うコンサートは現時点で10月11日のハリウッド・ボウルだけである。

Translated by Miki Nakayama

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