名曲誕生の舞台裏、突然の解雇…業界屈指の名ドラマーがエルトン・ジョンと共に歩んだ50年

ーあなたは来年70歳を迎えます。ドラマーには体力が求められますが、やはり普段から体を鍛えているのでしょうか?

ツアーに出るときは特にそうだけど、体調管理には気を配ってるよ。トレッドミルとかには興味ないんだけど、よく泳いでるね。食生活にも気をつけてるよ。お酒はもうやめたし、毎日ビタミン剤を飲んでる。ありがたいことに、大勢の人間が僕の健康状態に目を光らせてくれているんだ。

ードラムを叩くとき、あなたはグローブを着けていますよね。その理由は?

手にマメやタコを作らないようにするためだよ。あのゴルフグローブを作ってるFootjoyは、僕のスポンサーになってくれてるんだ。あのグローブに使われてるレザーはびっくりするほど薄くて、素手に近い感覚でスティックを握ることができるんだよ。グリップ感も増すし、手の保護にもなってるんだ。

ー今回のツアーは前回のアリーナツアーと比べて、内容は大きく変わるのでしょうか?

詳しくは話せないけど、一大スペクタクルになるってことだけは断言しておくよ。僕らが歩んできた長い道のりを包括するような、壮大なショーになる予定さ。僕自身、内容を全部把握できてるわけじゃないんだ。ステージが出来上がるのはリハーサル開始の数日前だしね。どんな内容になるかは分からないけど、記憶に残る素晴らしいショーになることだけは確かさ。

ー長年演奏していない曲なども披露する予定ですか? そういうサプライズを期待しているファンは少なくないと思います。

セットリストについては今考案中なんだ。大変な作業だろうね、何せ膨大な数の曲があるわけだからさ。僕のレパートリーだけでも200曲近くあるけど、曲は他にもたくさんあるからね。もしかすると、内容の異なるセットリストを2つ用意するかもしれない。毎回同じ内容にならないようにね。同じ会場で2日か3日続けて演奏する場合は、日ごとに少しずつ内容が変わった方がいいからね。まだアイディアの段階だから、実際どうなるかはわからないけどさ。リハーサルが始まったら、メンバーみんなで相談することになると思う。

ーツアーが終わる頃、あなたは72歳を迎えています。引退については考えていますか?

いや、リタイアするつもりはないよ。ツアー後のことはまだ何も考えてないけど、演奏で世界中を飛び回り続けたいと思ってる。今もオートレースには携わってるけど、さすがに本格的なレースに出るのは年齢的に無理だからさ。僕はインストラクターの資格も持ってるから、その道に進むっていう手もあるんだけどね。でもやっぱり、僕はドラムを叩き続けたいんだ。

ーそう聞いて安心しました。あなたがレコーディングに参加した古い曲を、今でもエルトンと一緒にステージで演奏しているという事実は素晴らしいと思います。最近はそういうケースが少なくなってきているので。

同感だね。ディー、デイヴィー、レイ・クーパー、それに僕の4人でロックの殿堂入りできたら最高だなって思うよ。僕らがやってきたことは、十分それに値すると思うんだ。認められて然るべき功績を残してきたからね。

ー自分が過小評価されていると感じていますか?

そうは言わないよ。僕はミュージシャンとして、最大級の喜びを経験してきたからね。自分がやってきたことを、僕は心から誇りに思ってる。それに比べたら、ロックの殿堂なんて取るに足らないことだよ。今もマジックの一部でいられるだけで、僕は十分幸せなんだ。だからこそ、僕はできるだけ長くドラムを叩き続けたいんだよ。



Translated by Masaaki Yoshida

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