「虐待は許さない」ヴィック・メンサがXXXテンタシオンをディスった理由

XXXテンタシオンをディスったとされるヴィック・メンサ(Photo by Paras Griffin/VMN18/Getty Images for BET)

BETヒップホップ・アワードで見せたシカゴ出身のラッパー、ヴィック・メンサのパフォーマンスに波紋が広がっている。

事前に録画された映像の中でメンサは、今年6月に亡くなった故・XXXテンタシオンをフリースタイルの中で「虐待者だ」と侮辱したと、テンタシオンとともに活動してきたプロデューサーDJ Schemeがツイート

Schemeは、XXXテンタシオンやWifisfuneral、Ski Mask the Slump Godなど、南フロリダ界隈のラップ仲間たちと制作した作品が評価され、昨年マイアミニュータイムズ誌で「マイアミ版、未来のジェイ・Z」と呼ばれている人物だ。

メンサは自身のInstagramで「つい最近、BETアワードのサイファー用にフリースタイルをやったんだ。俺は、女性を容赦なく虐待するラッパーどもや、奴らを崇め奉ってレジェンドと呼ぶ野郎どもをボロくそに言ってやった。俺は一貫して自分の発言を支持するよ」と主張。

6月にこの世を去る以前、テンタシオンは当時交際中だった恋人に対し、妊娠女性への加重暴行や不法監禁、さらにはこれら嫌疑に対する証人買収の件で起訴されていた。非常に重い起訴内容にもかかわらず、授賞式の出席者によれば、テンタシオンはアワードで最優秀新人ヒップホップ・アーティスト賞を受賞した。

メンサは、授賞式の現場に駆け付けたXXXテンタシオンの母親、クレオパトラ・バーナードさんに対し謝罪を表明。サイファーの映像は、授賞式の収録前に撮影されていたのだと釈明した。

「ビデオは何週間も前に事前に撮影された。悲嘆にくれる母親が、亡き息子を称えるために会場に来るなんて、思いもよらなかった。彼女を侮辱するつもりはさらさらなかった。銃撃事件で息子を失った彼女に、心からお悔やみを申し上げます」。 彼はさらにこう続けた。「でも俺は、虐待者を祀り上げるようなヒップホップ界の風潮には断固反対する。俺の口は容赦しない。世間から白い目で見られたって構うものか。俺は、虐待に対する世間の関心を高め、自分の行いには責任を持てとみんなに訴えたいんだ」

今年7月、Mensaはローリングストーン誌の論説ページに寄稿。銃による暴力が自分の人生に及ぼした影響を詳細に語り、AR-15の使用禁止を呼びかけた。

「アメリカにおける銃カルチャーは疫病だ。だが、ウイルスはあまりにも深く浸透してしまって、完全に払拭することはもはや不可能だよ。今こそ病の治療に当たるべきときだ」述べた。「黒人社会で起こる殺戮は、銃規制なんかじゃ解決しない。黒人社会を爪はじきにしてきた社会のギャップを埋めるには、インフラ整備や資金、政府の援助が必要だ。とはいえ、銃の乱射事件はまた別の話。ある程度の常識と、俺たちを搾取する億万長者たちに立ち向かう勇気さえあれば、防ぐことができる類のものだ」

BETヒップホップ・アワードは米国時間10月16日にオンエアされる。

Translated by Akiko Kato

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