カニエ ・ウェスト劇場、大統領執務室で見た「最もシュールな瞬間」

10月11日、トランプ大統領の執務室を訪れたカニエ ・ウェスト(Photo by Oliver Contreras - Pool/Getty Images)

アメリカ現地時間10月11日、カニエ・ウェストがトランプ大統領の執務室を訪れた。この模様は驚きの連続だった。大統領執務机に座るトランプの向こう側に座り、大勢のリポーターに囲まれた自称「自由な考えの持ち主」のラッパーは当惑と混乱しか与えない約10分間の自己満足的なトークを披露した。

彼はまず、大統領専用機をエアフォースワンから「アイプレーンワン(iPlane 1)」へと変えることを提案した。また、最近自分が双極性障害と誤診された経緯を話した(単純に寝不足だった)。そして、大統領執務室で「motherfucker」を口にした第一人者となった。ホワイトハウス付きのブルームバーグのリポーター、ジェニファー・ジェイコブスは、これを彼女が執務室で見た最もワイルドな出来事と呼んだ。

特にシュールな瞬間が訪れたのは、ウェストがトランプに魅力を感じた理由を説明したときだ。

「俺は男のエネルギーがほとんどない家族の一員と結婚している」とウェスト。「そうだな、それは……俺はヒラリーが大好きだ。俺はみんなを愛している。でも、あの『I’m With Her(彼女と一緒だ)』キャンペーンを見て、俺は感じなかったっていうか……いつも親父に会えなかった男として、息子とキャッチボールできる父親と同じ感覚にはなれなかったのさ。でも、この帽子(トランプの選挙スローガン「Make America Great Again」のロゴ入り)を被ったときに、スーパーマンになった気分がしたんだよ。俺のお気に入りのスーパーヒーローがあいつだ。あんたは俺にスーパーマンのマントを作ったんだ」

ウェストはトランプ、ファッション・デザイナーのラルフ・ローレンなど、「本物の」人たちを褒め称えた。ウェストは「それがイージー効果(Yeezy Effect)ってやつさ」と説明した。

音楽近代化法(Music Modernization Act /MMA)の署名式に参列した数人のミュージシャンに加え、ウェストはNFLの伝説の選手ジム・ブラウンと共にホワイトハウスを訪問した。それ以前、2016年の大統領選の後、ウェストはトランプにニューヨーク市にあるトランプ・タワーに招かれたことがあり、周囲を気にすることなく政治に対するトランプ大統領の向こう見ずなアプローチを延々と絶賛した。9月下旬のサタデー・ナイト・ライブのシーズン初回放送に出演した後、ウェストは赤い「Make America Great Again」ロゴの付いた帽子を被るようになり、大統領を褒め称える長い独白を公開した。そして11日に大統領執務室で絶頂を迎えたのである。

Translated by Miki Nakayama

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