マイクロソフト共同創業者ポール・アレン逝去ー音楽を愛し、人々から愛された人生

またヴァルカンは声明で、「アレンは素晴らしい知性と情熱の持ち主で、世界で最も困難な数々の問題を解決してきた。彼はクリエイティヴ・シンキングと新しいアプローチによって長期的に大きなインパクトを与えられる、と信じていた。ポールの人生は多様で喜びに溢れていた。彼の興味はとどまるところを知らず、テクノロジー、音楽、アート、バイオサイエンス、AI、環境保護と幅広く、スタジアムや地域でエクスペリエンスを共有し、人々の生活やコミュニティ全体を変えた」とコメントしている。

大の音楽ファンで音楽界にも大きく貢献したアレンは、2000年にエクスペリエンス・ミュージック・プロジェクト(後にEMPミュージアムに改名し、現在はポップカルチャー・ミュージアム)を立ち上げた。「(ジミー)ヘンドリクスみたいに歌って弾いているのが誰かと思えば、ポール・アレンだった」と2018年2月、クインシー・ジョーンズがポップカルチャー・サイトVulture.comに語っている。「彼のクルーザーで遊びに出かけたんだが、そこにはデヴィッド・クロスビー、ジョー・ウォルシュ、ショーン・レノンというすごいメンバーが一緒だった。最後の2日間はスティーヴィー・ワンダーがバンドを引き連れてやって来て、ポールも加わってプレイした。彼は本当にいい奴だ」とジョーンズは語った。アレンはギターコレクターでもあり、コレクションの中にはジミー・ヘンドリクスやウッディ・ガスリーのギターもあった。

「親友(素晴らしいギタープレイヤーでもあった)ポール・アレンの冥福を祈る。君の才能と寛大な心は、これまでも、これからも永遠に忘れられることはないだろう」とクインシー・ジョーンズはツイートした。

アレンは2013年、自分のバンド“ザ・アンダーシンカーズ”のデヴューアルバム『Everywhere at Once』で、自身のギター・スキルを披露した。アルバムには、ジョー・ウォルシュ、ハートのナンシー・ウィルソン、クリッシー・ハインド、デレク・トラックスなどのオールスター・メンバーが参加している。

2017年にアレンは、「シアトル版サウス・バイ・サウスウエスト」と銘打ち、シアトル出身の才能ある人々にスポットライトを当てた『アップストリーム・フェスティバル』を立ち上げた。同フェスティバルは、2018年6月にシアトルで第2回が開催された。

アレンは1982年に初めてホジキンリンパ腫と診断されたが、その後癌を克服した。2009年には非ホジキンリンパ腫と診断され、一旦は回復したものの、2018年10月初めから再発した癌の治療に入っていた。

億万長者のアレンは、NBAのポートランド・トレイルブレイザーズやNFLのシアトル・シーホークスのオーナーでもあり、多くのプレイヤーや関係者がソーシャルメディア上で追悼の言葉を寄せている。「We miss you. We thank you. We love you」とトレイルブレイザーズは公式ツイッターに投稿した。シーホークスはツイッター上で、「強い決意と決断力をもってひとつになれば、我々が成し遂げられないことはない」というアレンの言葉を引用した。

「ポール・アレンは、ビジネスや慈善活動、スポーツにおいても永遠のトレイル・ブレイザー(先駆者)だった」と、NBAでコミッショナーを務めるアダム・シルヴァーは声明を出した。「ポールは、NBAの最古参オーナーのひとりとして、リーグの抱える大小さまざまな問題に新たな発見とビジョンをもたらしてくれた。彼は委員会活動にも惜しみなく時間を割いてくれた。彼の専門知識は、リーグが新たなテクノロジーを導入し国際的に成長するための礎を築いた。思い込みや一般概念に疑問を呈する彼の言葉は、貴重だった。彼抜きで新たなシーズンを迎えなければならないのは、とても悲しい」


Translated by Smokva Tokyo

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