来日記念ベスト盤もリリース、マライア・キャリーを今こそ聴くべき3つの理由

マライア・キャリーの最新アーティスト写真

マライア・キャリーの4年ぶりとなる来日公演が10月29日(月)に大阪市中央体育館、10月31日(水)〜11月1日(木)に東京・日本武道館で開催されるのを記念し、日本独自企画のベスト・アルバム『マライア・キャリー ジャパン・ベスト』がリリースされた。同作にはストリーミングやファン投票などのデータを踏まえつつ、マライア本人がレーベルの枠を越えて選曲した全19曲が収録されている。トータル・セールス2億枚を誇る歌姫が、今もなお現在進行形で語られるべき理由を、音楽ライターの村上ひさし氏に解説してもらった。

1.ドレイクからエラ・メイまで、後進アーティストからの再評価

七転び八起き。これまでにも幾度となくドン底を体験しては、這い上がってきたマライア・キャリー。最近ではもっぱらゴシップ界の女王というイメージが先行、朝のTV番組やワイドショーなどでもしょっちゅうネタにされているけれど、ここに来てようやく追い風が吹き始めた。歌に対する正当な再評価(いや、再・再・再評価くらい?)をしようというムードが高まっている。

というのも、驚いたのがドレイクの大ヒット中の最新アルバム『スコーピオン』に収録の「エモーションレス」というナンバーだ。マライアの91年の全米ナンバーワン・ヒット「エモーションズ」(91年の同名セカンド・アルバム収録)をサンプリング。全編に彼女の歌声が飛び交い、そのパワフルでソウルフルなヴォーカルに圧倒される。


本記事で言及されているマライアの楽曲は、すべて『マライア・キャリー ジャパン・ベスト』に収録されている。

またこの10月に『ブライター・デイズ』でアルバム・デビューを飾った英国人DJ/プロデューサーのシガーラも、彼女の名曲をサンプリング。96年の全米ナンバーワン・ヒット「オールウェイズ・ビー・マイ・ベイビー」(95年の5作目『デイドリーム』収録)のフックを取り入れ、「セイ・ユー・ドゥー 」という痛快なダンス・ナンバーを発表。全英チャートでトップ5入りを果たしている。ドラム&ベースを取り入れたトロピカル・ハウス調というのが如何にも現代的だ。

そういえば、現在活動を休止中のアメリカの人気ガールズ・グループ、フィフス・ハーモニーもマライアのこの曲のフレーズを上手く導入。その名も「ライク・マライア」というナンバーで彼女にオマージュを捧げていた。”NEWマライア””NEXTマライア”と呼ばれて登場したアリアナ・グランデが、マライアからどれほど大きな影響を受けてきたかは、改めてここで説明するまでもないだろう。「ブード・アップ」で新風を巻き起こしている新人R&Bシンガーのエラ・メイも初めて買ったアルバムはマライアの『MIMI』だと語り、彼女の音楽性を受け継いでいる。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE