ライオット・ガールの先駆者が語る、教育支援のためのTシャツブランド設立と病からの回復

キャスリーン・ハンナとPeace Sisters創設者のティナ・カンプール(Photo by Jason Frank Rothenberg)

ビキニ・キル、ル・ティグラ、ザ・ジュリー・ルインなどのバンドで活動するキャスリーン・ハンナが、Tシャツブランド「Tees4Togo」をローンチ。売上はすべて、西アフリカ・トーゴの少女たちの学校教育を支援するNPO団体Peace Sistersに寄付される。

オンラインで販売されるのは、ジョーン・ジェット、キャリー・ブライウンスタイン、チャックD、グライムスなど、著名アーティストの似顔絵を用いたオリジナルデザインのTシャツで、Tシャツは非搾取労働環境で製造され、価格は1枚40ドル。これはトーゴでの1年分の学費に相当する。



ハンナがブランドを発案したのは、Peace Sistersの創設者ティナ・カンプールとの出会いがきっかけだ。トーゴで教師をしていたカンプールは15年前パサデナに移住し、正規雇用の登録看護婦となった。今でも現地に残してきた教え子たちが忘れられないと言う。「(ティナは)現地で育って、学校に行けない女の子たちを大勢見てきた」と、ハンナが説明する。「ほとんどが孤児だったり、貧しかったり。トーゴでは、5年生以降は学費を払わなくちゃいけない。ティナは大勢の女の子たちが6年生になる前に学校を辞めていくのを見てきたから、カリフォルニアに来てからは故郷に少しずつ送金するようになって、やがて他の人たちと一緒に支援できるようにとNPOを立ち上げたの。これまでに13人の女の子たちが、彼女やメンバーたちの支援で進学しているのよ。私はたまたまちょうどいいタイミングで居合わせて、『私も何か手伝いたい!』って思ったのがきっかけ」

ハンナは手始めに、地元の南カリフォルニアでPease Sistersの募金パーティを開くことからスタート。最終的にはGoFundMeというサイトを通じて、当初予定していた額の2倍を超える9000ドルを集めた。そのときカンプールがハンナをPeace Sisters大使に任命し、役員会に招待した。当時ハンナはライム病の最終ステージから回復したばかりだったが、プロジェクトが病気の快復の励みになったという。「本当に、本当にうれしかった。数年前だったら絶対不可能だった。完治するかどうかわからない病気だけど、でも不可能じゃない。私が生き証人よ」

さらにハンナはこう続けた。「ティナは既にこのプロジェクトを立ち上げた。私がやるべきことは、彼女のプロジェクトを後押しすること。クリエイティヴなことなら得意だから、それを活かして、彼女が築き上げたものに役立てることにしたの」

Tシャツブランドのアイデアを練りつつ、ハンナは長いリストを作って、ミュージシャンや俳優、コメディアンたちに自らアプローチし、協力を要請した。中にはアート作品を提供してくれる人もいた。

Tシャツに描かれた似顔絵は、ハンナの夫であるアダム・“アドロック”・ホロヴィッツや、元バンド仲間のJDサムソン、キム・ゴードン、パットン・オズワルト、W・カマウ・ベル、セス・ボガート、ジャスティン・ヴィヴィアン・ボンド、クリステン・シャールなどなど。

今年9月、ハンナが初めて結成したパンク・バンド、ビキニ・キルの全曲目がストリーミングサービスで配信可能となった。同時に、1998年のコンピレーション・アルバム『The Singles』を再リリースした。ハンナはローリングストーン誌に対し、ビキニ・キルとして新作制作の予定はないと語ったが、個人としてコラボレーションの計画はあると言う。「サヴェージズが曲を送ってきたの。私がヴォーカルをやるのよ」

Translated by Akiko Kato

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