ビートルズの未公開アコースティック版「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」が公開

「エリックがあれをプレイしたとき、本当にすごいと思った」と、かつてジョージが語っていた。「そのあと、みんなで聞き返してみたら、エリックが『あっ、問題発生。ビートルズっぽさが足りないみたい』と言った。だからADT(自動ダブルトラッキング)を使って少し音を揺らしてみたんだ」ということだ。ホワイト・アルバムのレコーディング・セッションは、アビー・ロード中に響き渡るほどの怒声が繰り返し起きたカオスな状況で有名だ。しかし、ジョージは、クラプトンがいるとみんなが行儀良くすることを知っていた。お馴染みのジョージ・パワーが発揮されたのである。そのときの模様をジャイルズ・マーティンは「あれは『ほら、世界で一番のギタリストが俺の曲を気に入っているぜ』とメンバーに伝えるジョージならではやり方だった」と言っている。ジョージの思惑通りになり、彼の言葉を借りると「エリックがいる間、みんな本当にお利口さんだった」らしい。

これは内容が拡張された『ホワイト・アルバム』の典型的な目玉といえる(公式では今でも『ザ・ビートルズ』というアルバム・タイトルだが、現在そう呼ぶ人は皆無だ)。このデラックス版は、ジャイルズ・マーティンとサム・オケルによるステレオと5.1サラウンドの新ミックスが施されていて、加えてビートルズで最も伝説的なお宝と言える、1968年5月に英国サリー州イーシャーで作られた27曲のデモ音源も収録される。一方、スーパー・デラックス版には同セッションで録音された50曲が新たに加えられ、そのほとんどがこれまで未公開か噂にもなっていない曲ばかりだ。

「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」(アコースティック・バージョン、テイク2)は、10月19日金曜日の午前0時(米国東部標準時)に、デジタル・アルバムの先行予約の開始と同時に、ストリーミング配信とダウンロードが開始されている。

Translated by Miki Nakayama

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