ビートルズの未公開アコースティック版「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」が公開

近日発売のホワイト・アルバム・ボックスセット収録の未公開アコースティック・バージョンの「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」を聞け(Apple Corps Ltd. )

近日発売のアルバム『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』ボックスセットから、ジョージ・ハリスンのギターとポール・マッカートニーのハーモニウムだけで奏でられる「アコースティック・バージョン、テイク2」が先行公開。

ザ・ビートルズのアルバム『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』は1968年の発売以来、人々に驚きと感動を与え続けているが、ビートルズにとって最も奇妙な傑作の奇妙さに拍車がかかる模様だ。現地時間11月9日に新たに発売される同作のスーパー・デラックス版に、このアルバムにまつわる彼らの仲を裂きかけた逸話が収録されている。その一つが米ローリングストーン誌で初公開された「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」の未公開バージョンだ。これはレコーディング初期のアコースティック・テイクで、ジョージ・ハリソンは後に最もパワフルな自作曲となるこのバラッドの弾き方をまだ試行錯誤している。新たなボックスセットに入れられた他の楽曲同様に、ここでのビートルズは実験モードが炸裂している。この先行公開の1曲を聞いただけで、もう内容などすべて知っていると思っていた作品の新たな側面に気づき、もっと聞いてみたいと思うことだろう。

この「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」(アコースティック・バージョン、テイク2)がレコーデイングされたのは1968年7月25日。ジョージのギターとポールのハーモニウムだけの演奏だ。まだ模索中の楽曲のダークで瞑想的な下絵という感じの音源では、ポールは曲を弾きながらコードを覚えている。一方、ジョージはアビー・ロードのスタッフに「たぶん彼にもマイクを1本立てた方がいいと思う」と指示している(この日、この前に行われた通し練習は『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に収録されているが、このバージョンは今回のボックスセット・プロジェクトの準備中に発掘されたものだ)。ここでのジョージはオリジナルの歌詞を歌っている。しかし、最終的に「I look from the wings at the play you are staging / As I’m sitting here doing nothing but aging(君が演じている劇を舞台袖から見ているよ/ここに座って歳だけとりながら)」を削除したようだ。

彼らが「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」のレコーデイングに戻ったのは、このアコースティックの下絵を書いてから3週間後だった。その間、彼らはジョージの曲「ノット・ギルティ」に苦戦していたのだ。最終的に収録を見送ったこの曲のテイク数は102にも上り、5ヶ月間のレコーディング・セッション最大の難関となった(このときの苦労がトラウマとなったジョージが、10年後の1979年にリリースしたソロ・アルバム『慈愛の輝き』に収録して、「ノット・ギルティ」はやっと日の目を見ることになった)。「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」は、彼があるギタリストを特別ゲストに迎えたことによって9月に完成した。いわずもがなのジョージの親友エリック・クラプトンだ。このボックスセットには、バンド全員とクラプトンが思う存分楽しみながら演奏しているジャム・セッションも収録されており、最後はジョージがスモーキー・ロビンソン風のソウルフルな高音を出そうとして失敗したところで終わる。彼は「スモーキーを気取ってみたけど、俺はスモーキーになれないってことだな」と言って笑う。

Translated by Miki Nakayama

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