登坂広臣インタビュー「エッジィな音楽を自己流に昇華」

・Afrojackとセッションした刺激的な時間

ー三代目との大きな違いとして表れているのは、やっぱりAfrojackのサウンドですよね。ここからはアムステルダムでの制作作業について聞かせてください。プロデュースといっても人によってやり方は様々ですが、Afrojackとはどんな関係を築き、どのように作業を進めていましたか。

登坂:ソロプロジェクトが始まる2年ぐらい前から、Afrojackは作ったトラックを「こんなのどう?」みたいなノリで送ってきてくれていて。30曲くらいかな(笑)。そこから、ソロプロジェクト始まります、Afrojackとやりますって決まったときから、彼から過去に送られてきた曲をもう1回聴き直してみたりして、やっぱり一つひとつクオリティが高くてすごいなと思いました。

ーそれって登坂さんが歌う前提で作られたトラックなんですか?

登坂:それもあるし、そうでないのもありますね。彼は移動中に曲を作ったりビートを作ったり常に何かしているので、ストックがかなりあって。その中から「俺から見た臣っぽいのを送っとくね」みたいな感じで送ってきてくれたんです。それを聴き返して、「この曲はもっとブラッシュアップしたら良くなりそうだな」とか「ストリングスを入れてもっとドラマチックにしてみたらいいんじゃないかな」とか「コード進行を少し変えたらもっと違う世界観になるな」とか、自分でイメージできるものを絞ってみました。その上でアムステルダムに行って、1週間くらいかな、毎日スタジオに入って彼と1曲1曲詰めていきました。「ここのキックはもっと厚い音にしてくれ」とか「ピアノはこっちの音色にしてくれ」とか「ストリングスはこういう感じにしてくれ」とか「ここで展開付けてくれ」とか、僕から細かく言いましたね。


Photo by Tsutomu Ono

ーへえ、かなり登坂さんから。


登坂:彼もすごく向き合ってやってくれる性格なので。海外の人と仕事するって難しいことではあるんですけど、Afrojackは本当に真摯に向き合ってくれて、お互いにぶつかり合える感じがありましたね。僕が「こうしたい」って意見して、彼から「トレンド的にはこっちに行ったほうがたぶん今の臣に合ってると思うよ」っていうパターンを聴かせてもらって「あ、こっちだな」って納得する、みたいなセッションを毎日しながら作っていきました。

ー50:50のフェアな関係だったんですね。でないとそういうセッションはできないんじゃないでしょうか。

登坂:そうですね。経緯としてはプロジェクトが始まる数年前から、彼が日本で僕らのライブを観てすごく仲良くなって、LDHとも親しくなり、今はLDH EUROPEのCEOでもあるので一緒にチームとしてやってくれていますけど、その段階でもう交友関係ができていたので。なかでも僕が個人的に仲良くさせてもらっていたので、その流れでできたのがよかったですね。ニック(Afrojackの本名)もこのプロジェクトにすごく力を入れてやってくれました。僕も世界のトップクリエイターの一人とじっくり向き合って音楽に触れ合えた時間っていうのは、すごく良いものになりましたし、楽しかったし刺激を受けたし勉強にもなりました。

ードキュメンタリー映画『SEVEN/7』にもその模様は映ってますが、海外にいるとき「ずっと音楽に浸ってるって感じだからすげー楽しかった」ってとても充実したいい顔をしてましたね。それを見て、ああ普通に一人の音楽好きなんだなと感じました。ほかのメンバーの言葉を借りると「三代目はスーパースターだけど俺ら一人ひとりはスーパースターじゃない」と言っていましたけど。

登坂:ははは(笑)。そうですよ。

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