国連が気候変動の現状へ警鐘、哺乳類絶滅すれば復活に数百万年必要

彼らが算出した復活に要する時間は、究極に楽天的な将来を想定している。つまり、人類が地球環境にダメージを与えることをやめた世界だ。しかし、それは現在の我々が進んでいる未来ではないことも明らかである。

クロサイとアジアゾウは、人類に劇的変化が訪れて、人間がこれらの保護に乗り出さない限り、もうすぐ絶滅すると予想されている2つの種だ。この2つの種の絶滅が確実視される背景には、この2つが独自の進化を遂げたことがある。つまり、この2種が絶滅したあと、生態系でこれらと同じ機能を果たす種が皆無ということだ。独自の進化を遂げた種が絶滅するということは、その生物を失うだけにとどまらず、その動物が生態系で担っていたシステムも全て消滅してしまうのである。

「大型哺乳動物や巨型動物類、つまりメガテリウムやスミロドンのように1万年前に絶滅した種は、かなり独自の進化を遂げた種だった。近縁種がほぼいない状況下での彼らの絶滅は、地球の生態系の進化の枝葉が全て切り落とすに匹敵した」と、今回の研究を指揮したオルフス大学の古生物学者マット・デイヴィスが言う。「トガリネズミ類には数百の種類があって、進化途中に絶滅が起きても生き延びられるようになっているが、スミロドンの場合は4種類しかおらず、すべて絶滅してしまった」

国際連合の報告書の唯一の利点は、今回の研究に使用されたデータや方法が、現在絶滅の危機に瀕している独自の進化を遂げた種を特定する手助けになる点だ。今後はこれによって特定された種を保存するための観察を続け、人類が与えるダメージを最小限に抑えることで、理論上は絶滅を回避できることになる。「何百万年後の復活を期待するよりも、現時点で生態系の多種多様性を保護する方が格段に簡単だ」と、デイヴィスが明言した。

Translated by Miki Nakayama

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