ACIDMAN大木伸夫がアイスランドで体験した不思議な出来事

「アイスランドが好きなんですよ。数年前に行ったことがあるのですが、素晴らしい体験でした。レイキャヴィクという小さな首都に滞在したのですが、そこからクルマで30分くらい行くと、地球がまさに生まれた46億年前の姿がむき出しになっていたり、一面苔に覆われた幻想的な場所があったり。まさにファンタジーの国でした」

余談になるが、大木はそこで不思議な体験もしている。たまたま入った小さなライブハウスでロウ・ロアーの演奏があり、終演後に楽屋へ挨拶に行ったところ彼らのスタッフから呼び止められた。

「『お前、ACIDMANだろ? お前たちが10年前に出したアルバム、ずっと好きで聴いているんだ』って。ビックリしましたね。そんなこともあるんだって」

楽曲ではなくサウンドの響きや質感を求める大木は、最近レコードだけは聴くようになったという。それもやはり、シガー・ロスの影響だ。「以前から、カッコいいとかそういう“チャラい意味”でアナログは持っていましたが(笑)、彼らがアナログを出すということでレコードプレーヤーを新しく買って聴いてみたんです。今さらだけど、音楽の良さに気づきました(笑)」

再び目を輝かせる大木。耳で聴き取れない波長を肌で感じるのが心地よく、毎日、何時間も聴いている。「最近は、ウィスキーを家で1人チビチビ飲んでいる」そうだが、アナログを聴きながらのウィスキーはまた格別だろう。

「チェイサーを用意して、喉を痛めないよう気をつけながら飲んでます(笑)」

元々は日本酒が好きで、赤提灯みたいなところで仲間たちと飲みに行くのが定番。ライブの後、メンバーやスタッフ、対バンしたメンバーたちと飲むことも多いが、ミュージシャン以外の交流も多岐にわたる。

「外で飲むときは、もっぱら日本酒です。よく磨かれた、甘味のしっかりする純米大吟醸が好きですね。最近だと新政の『瑠璃(ラピス)』という、秋田のお酒が美味しかったな。ウィスキーはまだ覚えたてなのですが、『イチローズ・モルト』という埼玉県・秩父市のウィスキーが良かった。僕は埼玉出身なので親近感も湧きますね」

ここへきて、ウィスキーやアナログ・レコードにこだわり出したのは「高校生の頃から好きだった村上春樹の影響もあるかも」と明かす大木。このところ続いている「ハルキスト・ブーム」には食傷気味で、しばらく村上作品から距離を置いていたが、昨年出版された『騎士団長殺し』で再び火がついたそうだ。



「あらためて良さに気付かされ、やはり自分の表現の原点は、ここにもあるなと感じました」

さて、今年でACIDMAN結成から21年目に突入し、8月には41歳を迎えた大木。これからの展望についてはどのように考えているのだろうか。
「去年のアニバーサリーで、自分たちは本当にたくさんの人たち、ファンに支えられてここまで来たんだなということを肌で感じて。しかも、まだまだやれることは山ほどあるし、もっともっと自分たちを知ってもらいたいという気持ちがあるんです。いい曲を作って、いいライブをしたいという気持ちが、結成当時と同じくらい強くなっているのが自分でもうれしいんですよね」

タバコをくゆらすその表情に、重ねてきた年齢の深みを感じさせ、かと思えば好きな映画や本、レコードの話では、まるで少年のように無邪気な笑顔を見せる。そのギャップこそが大木の魅力であり、ACIDMANの原動力なのだろう。



『ACIDMAN LIVE TOUR “Λ” in 日本武道館』
ACIDMAN
ユニバーサルミュージック
初回限定盤【Blu-ray】(TYB T-19025/6)
初回限定盤【DVD】(TYXT-19016/7)
111月28日発売

ACIDMAN LIVE TOUR “ANTHOLOGY 2” 

2019年3月2日(土)沖縄・桜坂セントラル
2019年3月11日(月)福島・いわき芸術文化交流館アリオス中劇場
2019年3月15日(金)大阪・Zepp Osaka Bayside
2019年3月21日(木)香川・高松オリーブホール
2019年3月23日(土)宮城・仙台Rensa
2019年4月6日(土)福岡・Zepp Fukuoka
2019年4月7日(日)岡山・岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
2019年4月13日(土)石川・金沢EIGHT HALL
2019年4月21日(日)愛知・Zepp Nagoya
2019年5月10日(金)北海道・サッポロファクトリーホール
2019年5月17日(金)東京・Zepp Tokyo
料金:前売り4800円

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