著作権協会国際連合幹部が語る、ソングライターが抱える世界共通の悩みとは?

ー業界で最近よく耳にする言葉に“ブロックチェーン”があります。特に音楽のメタデータや著作権管理に利用できるものなのか、ご意見をお聞かせください。

オロン: 業界では現在実験段階の領域だ。利用方法を模索している状況で、私自身は、改革につながるようなアプリケーションをまだ目にしていないと思う。しかし社会全体としては、大量データの処理に対応しようと努力している。

ジャール: 今の我々は、デジタル社会における実験段階にいると言えるだろう。従って、さまざまなアイディアが出てきている。それは良い状況だ。我々は一層早く対応しなければならない。例えば、パブリッシャーがオーサーの権利から適切な収益を上げられるようになるまでに、100年かかった。これから我々は、毎年のようにやり方を変えていく必要があるだろう。テクノロジーに関してもっと早く対応するやり方を、我々は身につけなければならない。

ー教育問題と同時に法的問題のようにも思えます。多くの音楽ファンは、レコーディングとパブリッシングそれぞれの業界の違いを理解していません。

ジャール: アーティストの多くもそうだ。

ーでは、彼らへどのように説明していますか?

オロン: まず我々は誤情報に対応し、それからアーティストやリスナーのみならず議員をも啓蒙する必要がある。我々は例えばソングライティング・キャンプのように、積極的に啓蒙活動を推進してきた。ビジネスをスタートさせようとする人々が思っていることと、実際に必要な知識との間には、大きなギャップがある。

ジャール: 著作権の仕組みやオーサーの権利団体の役割などを理解していないアーティストもいる。彼らは著作権料について、税制の一部のようにとらえたり、美容院やディスコに負担をかけるものとして考えている。しかし例えば、ラジオを聴いている時、リスナーに支払いは発生せず、著作権料は放送局が支払って当然だと考えるだろう。どこに違いがあるのだろうか?

オロン: 我々は、全てのサービスが公正な支払いをするよう調整する必要がある。多くの面において、放送業界が始まった時に起きた論争と同じような状況といえる。時が経ち、業界は安定した。全てがあるべき姿となって機能している。テクノロジーこそ違うが、今我々は同様の問題に対応しているのだ。

ー音楽やコンテンツが無料で手に入る時代に育ったジェネレーションXやミレニアル世代を説得する際の問題を予想していますか?

ジャール: カルチャーを大切にすることを学校で教育する必要がある。消費者としては、もちろん何でも無料で手に入るのは喜ばしいことだ。しかし、我々が今直面している問題を、社会の別の分野に持っていった場合を想像してみて欲しい。飲んだコーヒーに対して支払いをしない、と突然宣言しても受け入れられないだろう。

オロン: ユーザーにとって無料というのは、クリエイターに対して支払われない、という意味ではないことを付け加えたい。コンテンツをユーザーに無料で提供するようなビジネスモデルもいいだろう。ライセンスを管理してクリエイターへ支払いさえすれば良いのだ。

Translated by Smokva Tokyo

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