ジム・キャリー、トランプ以降の米国を語る「痛みは独創力の泉へと変えることができる」

ブリタニア賞の授賞式に登場したジム・キャリー(Photo by Kevin Winter/Getty Images for BAFTA LA)

アメリカ現地時間26日の夜、英国アカデミーが主催するブリタニア賞の授賞式でジム・キャリーの政治的なスピーチが大喝采を浴びた。

コメディ界での功績をたたえるチャールズ・チャップリン・ブリタニア賞を授与されたジム・キャリーは、スピーチの中でチャップリンを自身の「芸術と博愛主義のヒーロー」と表現したキャリーがチャップリンの時代と今を比較した。

父親の不在、そして母親も14歳の頃に精神科病院に入院してしまう、というチャップリンの生い立ちを語りながらキャリーは言った。「この数年間私たちが目撃してきたように、この種の痛みは一部の人間を怪物に育ててしまうこともできる一方、独創力の泉へと変えることもできる」

キャリーはチャップリンが「良心なき資本主義」の批評家であったことも指摘した上で「私たちはまさに、良心なき資本主義の時代を生きている」と述べた。さらには「チャップリンは当時のアメリカの保守派たちが象徴する移民への嫌悪、真実の軽視、強欲、権力の濫用をはじめとする最も邪悪なものに食ってかかった。私たちは現在、同じ悪と戦っている」と加えた。



そして話をドナルド・トランプ大統領へと移しながら、トランプ政権の移民拘留政策やトランプが政界に登場して以来、すっかり主流になってしまった数々の陰謀説を批判した。「恥知らずであることは決して私たちを超大国へと導くものではない。それは悪党の証だ。立派な国家は子どもをさらったりはしない。アメリカで暮らす半数以上もの人々は今、悪に染まった国家が悪魔的な計画を立てていると信じている……その計画というのは何だ? ヘルスケアを提供することか?」

キャリーは続けた。「アメリカにいる私たちは誤った情報を与えられている。リアリティ番組がヒーローの概念、さらには真実の意味を歪めてしまった。だから今夜、人間の美徳や真実に気づかせてくれる人々にこの賞を捧げたい」。

その後キャリーは、トランプ大統領とロシアのつながりを告発した「スティール文書」の作成者クリストファー・スティール、連邦最高裁判所判事ブレット・カバノーを性的暴行で訴えたクリスティーン・ブレイジー・フォード、反差別活動家として有名になったNFLのクオーターバック選手コリン・キャパニック、先週にかけて民主党有力者や左翼傾向の著名人に相次いで爆弾が送られた事件が続くなか、不審な小包を受け取った俳優のロバート・デニーロなどの名を挙げた。

キャリーはトロフィーを眺めながら「郵便で送られてこなくてよかったよ……でも時間の問題かな」と爆弾に言及したジョークでスピーチを始めた。

「グレートなアメリカでここ数年流行っているような小包は受け取っていないよ」とキャリーは続けた。「それに、アメリカがここまでグレートだった記憶もないな」

キャリーのスピーチはトランプ大統領が口に爆弾を加えている最新のアート作品の発表の直後に行われたものだ。作品と一緒に発表されたTwitterでキャリーは「ドナルド・トランプのヘイトスピーチが(爆弾事件の)犯人を焚きつけた」とコメントした。






Translated by Shoko Natori

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