2. 愛を感じる映画。
「小さな共同体の中に自分がいる時に感じる愛ってたしかにあると思うんです」(竹村)
竹村郁哉(Gt):最近で言うと、『万引き家族』はめちゃくちゃ愛が表現されている映画だなと感じました。あれは家族を演じている集合体の話だけど、その中に、確実に家族愛が宿っていて。
しかも、役者の人たちは「家族を演じる他人を演じている」っていう状態になっているはずなんだけど、役者さん同士にも愛があるように感じられたんですよね。安藤サクラさんの、子供を抱きながら火を見ているシーンが本当にすごくて。
角舘:俺も、あそこはヤバかった。
-最初に親から子への愛の話もありましたけど、血が繋がっていない者同士のコミュニティの中にも、家族愛に近しい感情が生まれる可能性はあるんですよね。裏を返せば、血が繋がっているからといって、そこに家族愛が生まれるとも限らないし。
竹村:そうですね。『万引き家族』は、みんなが同じ家に住んでいるっていう点がデカかったけど、『万引き家族』ほどではなくても、小さな共同体の中に自分がいる時に感じる愛ってたしかにあると思うんです。
角舘:まさに、そういう意味でバンドって不思議だもんね。気持ち悪いほど一緒にいるけど、めちゃくちゃケンカするわけでもないし、どこかでいつもお互いが気に留めているっていう。
粕谷哲司(Dr):俺が好きなのは、4人のうちの3人で飯食ってたりすると、健悟はは「あいつ、これ食ったら好きだろうなぁ」とか言うんですよ。そこには、めっちゃ愛を感じる。
角舘:たしかに、言うかも。……でも、不思議だよね。4人とも生まれも育ちも違って、カルチャーも違うのに、なにかしらの愛を感じて一緒にいるっていう……。なんか、言っていて恥ずかしくなってきたけど(笑)。
-ははは(笑)。
角舘:でも、本当に不思議だなって思う。
粕谷:うん。こんな関係性って本当に不思議。