Yogee New Wavesが考える愛の宿る芸術とは? 5つのキーワードから語る

3. 愛を感じる本。
「愛って、いわば人の感情増幅装置なんですよね」(角舘)

角舘:俺、本はあんまり読まなくて、漫画ばっかり読むんですけど、『火の鳥』(手塚治虫)とか、毎回、愛の話だなって思う。

粕谷:健悟が俺にくれた『G戦場ヘヴンズドア』(日本橋ヨヲコ)も、愛じゃない?

角舘:あれは完全に共同体としての愛だね。『宇宙兄弟』(小山宙哉)も、兄弟愛が描かれているし……。そう考えると、愛がない漫画は読んでないかも。

竹村:漫画家で言うと、俺、萩尾望都さんが好きなんですけど、あの人が描いた『11人いる!』には、愛を感じたかもしれない。

角舘:へぇ~、俺、読んだことない。どんな漫画なの?

竹村:主人公がいて、そいつのライバルがいるんだけど、そのふたりが衝突していくうちに、そのライバルは両性具有の宇宙人であるっていうことがわかるんだよね。で、最終的にその宇宙人は女の子になって、主人公と結婚するっていう。

角舘:ちょっと待って、意味わかんない(笑)。

竹村:実際、読んでいてもビックリするから(笑)。「え、両性具有名の!?」みたいな。そこから「じゃあ、俺は女になる」っていって、女の子になっちゃうっていう。

角舘:すごいな……。それって、自己犠牲的なものなのかな? どちらの人生もあったはずなのに、愛する人と一緒になるために、ひとつの道を選んだっていう。……今、話しながら思い出したんだけど、俺、読みながらむせび泣いた漫画があって。

『ハーレム革命』っていう、『ふたりエッチ』の作者の克・亜樹さんが描いた漫画なんですけど。一夫多妻制と言いながら複数の愛人と暮らす父親がいて、その息子の初恋の相手が、父親の愛人になっちゃうっていう話で。

-その話のどんな部分に、角舘さんは惹かれましたか?

角舘:父親の愛人になってしまった初恋の相手を取り戻すために、主人公が一喜一憂する。その姿がかなり極端なんです。愛が人間に加わると、怒りすぎたり、泣きすぎたりっていう極端な状態にもなってしまう。愛って、いわば人の感情増幅装置なんですよね。『ハーレム革命』では、それが連発する。その極端な描写に本当に感動したんです。

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