インターポールが振り返るデビュー時の苦難、ストロークスと築いたNYロック黄金時代

-インターポールは今年7月に、ザ・ キュアーの40周年記念コンサートにも出演しましたよね。

ダニエル:出演のオファーをもらえて光栄だった。今年、ザ・キュアーがヨーロッパでやる唯一の公演でもあったからね。僕らは2004年にもザ・キュアーのツアーに同行している。モグワイ、ザ・ラプチャーといった素晴らしいバンドと一緒にね。その時も楽しかったけど、今回のハイドパーク公演は格別だった。僕はロンドン生まれだから、子供の頃、兄や家族と一緒にハイドパークに行った思い出がある。兄の一人は今もロンドン在住だから公演に来てくれたし、もう一人の兄もパリから駆けつけてくれたから、ステージに立っている時も家族のことを考えながら演奏した。とても特別な瞬間だったよ。

-ザ・キュアーのことは昔から好きでしたか?

ダニエル:尊敬するバンドだし、彼らの曲に心を打たれたこともある。すべてのアルバムを聴きこむほど熱狂的なファンでもないけど、結成から40年間、ずっと素晴らしい活動をしているバンドだと思う。彼らのライブを観ると、いい曲が本当にたくさんあるんだなって思い知らされるよ。

-インターポールにも影響を与えている?

ダニエル:いや、それはないね。ファーストアルバムを出した時、僕たちはザ・キュアーとよく比較されたし、個人的に影響を受けたメンバーはいるのかもしれないけど、バンド全体に影響を与えたとは思わない。最新作にザ・キュアーの影響は感じられないし、他のアルバムについても同様だ。たしかに僕たちの音楽は、ムーディなロックンロールだと思う。それがザ・キュアーのように聴こえるというのなら嬉しい話だ。でも、僕たちはザ・キュアーのようなサウンドを求めているわけではない。ただ、自分たちが納得のいくサウンドを追求しているだけだ。

-バンドを始めた頃はどんな音楽が好きでしたか?

ダニエル:僕にとって音楽は旅路のようなもので、子供の頃からアンダーグラウンドな音楽に触れてきた。それに自分が幼い頃から、二人の兄も音楽に対し、宗教のように入れ込んでいたのも大きかったよ。最初に覚えているのがザ・ジャムで、兄がファンクラブに入っていたから壁にも色々貼ってあった。そのあとに出会ったのは、サイコビリーやクレイジーなパンクロック。それから、11歳の時にフランスからワシントンDCに引っ越したんだけど、DCのハードコアシーンも衝撃的だったな。ディスコード・レコードの信念には感銘を受けたし、インターポールを始めるうえでフガジの存在は大きかった。作曲に関しても彼らの影響は大きくて、今でも大好きなバンドの一つだよ。

-そこから現在に至るまでに、音楽の趣味は変わりました?

ダニエル:変わったのかもしれないけど、それがインターポールにも反映されているかはわからないな。いつもスタジオ入りする前に作曲するんだけど、その期間はあまりロックを聴いたりしない。避けているわけではないけど、ロックを聴くときは自分たちが作っている曲であることが多いね。リハーサル音源を聴きながら、「これは違うな」「こういう風にしたらどうだろう」みたいに考えている。自分たちの音は何度聴いても苦にならない。

それ以外で聴くのはアンビエントとか、ロック以外のもの。ジャズもよく聴くし、西アフリカのギター音楽も好きだ。無理に最近のロックに付いていこうとは思わないし、ネットの情報も読まないから、音楽が僕を見つけてくれることの方が多い。映画を見ている時や、友人に何かを薦められた時。あるいは、お店やレストランなどで「この音楽は何だろう?」と気になった時とかね。


ダニエルが2015年に作成したプレイリスト。フガジ、アマドゥ&マリアム(西アフリカ・マリ共和国)のほか、 古いロックンロールから21世紀以降のエレクトロニック・ミュージックまでセレクトされている。

-偶然の出会いから得られるものは多いですよね。

ダニエル:僕は新しい発見をするのが好きだから。結果的に、一番影響を受けているのは映画だ。インターポールを結成して以来、作曲のインスピレーションを得るのに映画は欠かせない。仕事のために雰囲気作りをしたい時、僕は午後3時に、NYのアートハウスでどんな映画を上映しているのか調べる。昔の作品でもいいし、新しいインディー映画でもいい。そこで映画を観ると、帰る頃には良いインスピレーションを感じているんだ。(アイディアを得られる)確約なんてないけど、ずっと続けている。NYでの生活でいちばん好きなことだ。

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