インターポールが振り返るデビュー時の苦難、ストロークスと築いたNYロック黄金時代

-ニューアルバムの制作プロセスについて教えてください。

ダニエル:前作『El Pintor』のツアーが終わって、自分のなかにあったものが今回の曲に表われたと思う。曲の骨組みは僕がクラシック・ギターで作ったものだ。それを他のメンバーと発展させていく過程で、楽曲はさらに生き生きとしたものになった。そのなかで、今までと異なる試みはプロデューサーを招いたこと。僕たちはDIY精神が強く、自分たちでプロデュースすることもできるけど、今回はあえてオープンになろうとしたんだ。コントロール意識を下げて、オープンさを増す。それが今の僕たちにとって最大のチャレンジだった。

-新作のプロデューサーに、デイヴ・フリッドマンを起用した理由は?

ダニエル:彼はモグワイ、MGMT、テーム・インパラ、フレーミング・リップスなど様々なバンドを手がけ、毎回違う作品を出している。僕らはリハーサルの成果に満足していたから、それをデイヴがプロデュースしたらどんな仕上がりになるだろう、と興味を持った。彼とは一度も会ったことがなかったんだけどね。さっきも話したように、今回の曲には生々しさや切迫感があった。そこにプロデューサーの手が加わると、勢いを削いでしまうことだってありうるわけだ。でも、デイヴはデモ音源を聴いて、そういう生々しさを取り除かず、むしろ活かそうと決断してくれた。その成果はアルバムを聴いてもらえばわかると思う。



-今回はこれまでにも増して、(ダニエルが弾く)ギターが素晴らしいと思いました。

ダニエル:ありがとう(笑)。確かに今回のアルバムでは、ギターのサウンドがダイナミックに聴こえるし、スピーカーから飛び出しているように聴こえるよね。それに作曲の観点から見ても、今回は進化していると思うんだ。曲のユニークさが増して、深い部分まで表現できていると思う。今回はデイヴが加わったこともあり、作り方を少し変えた部分もあった。僕はギターについてクラシックなアプローチをすることが多く、そのやり方が気に入っている。かたやポールは、色々試しながら新しいサウンドを探求するタイプだ。今回のアルバムでも、彼の爆発的なアプローチが感じられると思う。

-近年になってベースを弾くようになった、ポールの演奏もグルーヴィーでいいですよね。最近は「ロックに覇気がない」と言われるなか、久々に骨太なロック・アルバムを聴いた感じがしました。

ダニエル:ロック全般に関しては意見できないけど、今回のアルバムに関してならそうかもね。新作は2インチのテープに録音したから、自分たちに制限を課した部分もあった。だがそれは、“開放感を得た”と捉えることもできる。例えばギターのテイクは、テープの尺がないから2回か1回で済ませなければいけなかった。するとテイクに凝りすぎなくなる。そういうマインドでレコーディングを続けていると、「今のはいいんじゃないか? アンプの響きもいいし、曲の感じもいい。じゃあ次に進もう!」という姿勢になる。だから、とても素直で、むき出しの感覚が表れたアルバムになったんだ。

-アナログな制作環境が、思い切りの良さや開放感に繋がったと。

ダニエル:今回のアルバムの音は、今でもリハーサル・スペースで演奏しているように聴こえるし、その情景まで思い浮かぶようだよ。こんなにダイナミックな音作りができたのも、デイヴのおかげだ。

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