ギター中心のロックはあまり聴かれなくなかったかもしれないが、21世紀に入ってから子どもにロックを教える教育機関、いわゆるロックキャンプの数はうなぎのぼりだ。
選択肢の幅も広がって、営利団体School of Rock(実はジャック・ブラック主演の映画が公開される前から存在していた)にはじまり、全国で実施される何十ものサマーキャンプまで多種多様。その多くが女子をターゲットにしたものだ。ティーガン&サラやハイムなどは、
Girls Rock Camp財団へ多額の寄付を行っている。
こうした活動から実際にロックスターが産声を上げ始めている。2018年注目の女子アーティスト、サッカー・マミーやスネイル・メイルもロックキャンプ出身者だ。スネイル・メイルことリンジー・ジョーダン(19歳)が、とあるロックキャンプに参加したのは7歳のとき。その後、「女の子だからって私を仲間外れにした男の子たち」と張り合えるようになった。
ジョーダンはやがて「ギターの名手」となった。得意ではない難易度の高い曲も、練習して弾きこなせるようになり(エリック・ジョンソンの超絶技巧な「Cliffs of Dover」も弾けるようになった)、自分自身を証明してみせた。ただ、このことを本人は悔やんでいる。「音楽は競争するものじゃないわ」
サッカー・マミーことソフィー・アリソン(21歳)は、10歳の時にテネシー州の女子向けサマーロックキャンプに参加した。「すっごく楽しかったわ」 キャンプでギターを始め、その後ドラムに転向。曲のアレンジも覚え、ホワイト・ストライプズやコールドプレイをカバーするまでになった。「1年目は17歳の子たちとバンドを組んだ。その後は、少しずつ友達を説得してキャンプに誘っていったの」
女子限定というのが良かったと彼女は言う。「キャンプ全体の雰囲気がすごく良かった。授業中も女の子だってことに気を使わなくていいし、どうせ失敗するだろって顔で見られることもないし。とてもいい学習環境だったわ」
ジョンソンが今も心残りに想うことがひとつ。「子どもの時にGirls Rock Camp財団のことを知ってたらよかったわ。そうすれば自分に自信が持てただろうし、ちゃんとした大人になるための術を教えてもらえたでしょうね」