米中間選挙:フロリダ州初の黒人知事なるか? 民主党候補の挑戦

民主党のフロリダ州知事候補アンドリュー・ギラム:2018年9月、マイアミにて撮影( Photo by Scott McIntyre/The New York Times/Redux)

日本時間の今晩から投票が始まる米中間選挙。フロリダ州初の黒人知事として期待されているのが、民主党候補のアンドリュー・ギラムだ。

約19年前に新入生としてフロリダ州立農業機械大学へ入学し、当時州知事だったジェブ・ブッシュに抗議の声を上げた男が、フロリダ州初のアフリカ系米国人知事になろうとしている。ギラムは、同大学が最下位に置かれる原因となっていた大学システムの階層化を推進する当時のブッシュ知事の政策に反発して2000年に起きた運動の、オーガナイザーのひとりだった。大学院過程がなくなるとただの“学士工場”になる、とギラムは主張していた。ブッシュは、州立カレッジの入試における積極的差別是正措置を廃止したが、ギラムと仲間の同窓生たちは、同大学の修士課程と博士課程の継続のために努力した。いま彼はフロリダ州の住民に対し、ブッシュのかつての職を自分に与えるよう求めている。

「フロリダ州立農業機械大学は、私がヘビー級の試合のような政治の道へ進む本当のきっかけになった」とギラムはローリングストーン誌に語った。「その試合はご存知の通り、“お前は誰だ?”とか“他の人との違いは何?”といったところから始まる。プロセスへの取り組み方や関係性を明確にすることではじめて、現実味を帯びてくる。そうやって私は政治に対して積極的に取り組むようになっていった」

現在39歳のギラムは、大学卒業を待たずに政治の世界へと入った。2003年、政治学科の学生だった彼は、タラハシー市の委員に選出された。委員の11年間とその後の市長としての4年間は、これから知事になろうという彼にとって全てがよいトレーニングになった。「彼の送ってきた人生や歩んできた道を様々な面から見てきましたが、ほとんど自然の成り行きだったといえます」と、ギラムのシニアアドバイザーを務めるシャロン・レットマン=ヒックスは言う。ヒックスの手配したピープル・フォー・ザ・アメリカン・ウェイでの仕事は、ギラムにとって初の政治にかかわる仕事だった。彼女はまた、ギラムの市委員へ向けた選挙キャンペーンも取り仕切った。

州レベルの選挙とはいえ、ギラムは確かに米国中の注目を集めた。そして間違いなく彼は、バラク・オバマ以来最も洗練されたカリスマ的なアフリカ系米国人(男性)政治家といえる。背が高く弁が立ち、素晴らしいカリスマ性と有権者に安心感を与える性格を兼ね備えた彼は、オバマと比べられても仕方がない。2016年にヒラリー・クリントンがギラムを副大統領候補のひとりに挙げ、バーニー・サンダースは2018年8月、Our Revolutionグループと共にギラムの支持を表明しているが、その理由もうなずける。クリントン政権で閣僚を務め、現在はマイアミ地区の下院議員候補となっているドナ・シャレイラはローリングストーン誌に、「ギラムは、オバマの雄弁さとビル・クリントンの感覚を兼ね備えている」と述べた。

共和党側の対立候補は、トランプ大統領の支持を受けた元下院議員のロン・デサンティス。彼は2人の幼い娘たちを使ってトランプ支持の宣伝ビデオを製作したが、彼女たちが成長してそれを見たとき、セラピー代がかさむことだろう。宣伝ビデオの中でデサンティスは積み木で国境を作り、トランプの自伝を読み聞かせながら子どもたちへ“Make America Great Again”について教えている。大統領に対するジョークのような媚びへつらいが見られるだけで、そこには彼自身の政策のかけらもなかった。デサンティスとギラムがそれぞれ予備選を勝ち抜いてから24時間経たずにデサンティスは、Foxニュースのインタビューに対し「大型増税を導入し国を破綻させるような社会主義者の政策で、全てを台無しに(monkey this up)すべきでない」と語っている。

Translated by Smokva Tokyo

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