激戦州・コロラドの未来を「無党派層」が左右する

「スイング・ステート(激戦州)」として知られるコロラド州(Photo by Helen H. Richardson/The Denver Post via Getty Images)



こうしたなかでも最も注目されているのが、ジャリッド・ポリスとウォーカー・ステイプルトンによる知事選だ。ポリスは同性愛者のユダヤ教信者だが、それ以上に情報戦を見守る右派の憤りの対象となるのが、ポリスの基盤であるボールダーという、風刺画的と言ってもいいくらいリベラルな大学都市の存在だ。アメリカ現地時間11月1日、トランプ大統領はTwitterでステイプルトンへの指示を表明した一方、ポリスが「犯罪と国境(ボーダー)対策に弱い」と主張した。

「コロラドのすばらしいところは、無党派層の投票者が運命を左右することです」。コロラドは青い州なのか、というローリングストーン誌の質問に対してポリスは答えた。10月末にボールダーで開催された交流会後のインタビューでのことだ。ボールダーにふさわしく、イベントは現金払いのみのヒッピー風の工場直営パブで開催された。人々はチップを出し合い、竜の膝に座りながら鹿にエサを与える瞑想中の女性を描いた壁画のもとでヴィーガン向けのテンペルーベンサンドイッチがふるまわれた。

サーモンピンクのポロシャツの裾をカーキ色のパンツに入れたポリスの足元からは、履きこまれたブルーのスニーカーがのぞいている。「民主党議員と共和党議員の数は、ほぼ拮抗しています」とポリスは続けた。議会でポリスの後任となる可能性が高いジョー・ネガスが数フィート先で有権者と話している。「大切なのは、私たちには国を前進させるためのより優れた政策があることを無党派層の人々に理解してもらうことです」。ポリスは言った。5期にわたって連邦議会員を務めたポリスは疲れ切った様子だ。ざっと見積もっても、300以上ものこうしたイベントをコロラド中で開催してきたのだから。この3日間、ポリスを乗せたバス——会場の外に停まっている大きなブルーのグレーライン——はアラモサ、デュランゴ、グランドジャンクションを旅してきた。

ポリスは共和党の対戦相手にリードを取っている。最新情報によると、ポリスが7から12ポイントはリードしている。「中小企業や住民の所得税の削減に一番力を入れています」。社会主義的とも言えるほど悪意に満ちたリベラル派と共和党が描写する人物からこうした言葉がでるのは意外かもしれない。しかし、ポリスはビジネスマンであると同時に、オンラインフラワーショップの起業家として富を築いた人物でもある。そんなポリスの会社から花束を購入した経験がある人もいるだろう。

インタビュー中もポリスが持つ携帯電話は鳴り止まない。何度も中断されながらも、国民皆保険制度、終日預かりの保育園と幼稚園の無償化、2040年を目標とした国営の再生可能エネルギーの実現などの重要事項について語った。

それに対して、ステイプルトンが掲げる議題は典型的な共和党によるものだ。コロラドの複雑な保守派の御曹司であるステイプルトンのホームページには、怒りに満ちた決まり文句が散りばめられている。トランプ大統領率いる共和党議員の多くがそうであるように、ステイプルトンの視点は否定的である。ステイプルトンは単一支払者制度、不法移民に寛容な聖域都市、課税には反対だ。それでも、州財務官を務めるステイプルトンは銃と石油の愛好家でもある(これに対して何度もコメントを求められながらも、ステイプルトンのキャンペーンが答えることはなかった)。

「コロラドはいつも政党ではなく、個人を見てきました」。ポリスは言う。ローリングストーン誌の質問に対して、保守派の政治活動委員会「コロラド・ライジング・アクション」でエグゼクティブ・ディレクターを務めるマイケル・フィールズはこのように主張した。「コロラドのような州では、候補者の資質が極めて重要です。2014年にコーリー・ガードナーが現職の上院議員に勝利できたのも、彼が善良で頭の切れる候補者だったからです」

コロラドの共和党を代表するガードナー上院議員は現在、上院を手中に収めている。連邦議会には、ポリスを含む3名の民主党議員と4名の共和党議員がコロラドを代表しているのだ。それでも、コロラドには44年間、たった一人の共和党の州知事しかいない。コロラドにおけるトランプ大統領の不支持率は60パーセント弱だ。この26年間、コロラドの人々はヒラリー・クリントン、バラク・オバマ(2回)、ジョージ・W .ブッシュ(2回)、ボブ・ドイル、ビル・クリントンが大統領になるよう、票を投じ続けてきた。

これらは何を意味するのだろう?

「コロラドは激戦州だと思います」。現職のコロラド州知事ジョン・ヒッケンルーパーはローリングストーン誌にこのように答えた。アイオワ州デモイン国際空港からデンバーへ帰ろうとする州知事は、「ワールド・フード・プライズ」のような名前のイベントに参加しただけでなく、2020年の大統領選を真剣に見据えて、動向を伺っていたのだ。「どちらかと言えば青色寄りかもしれません」。任期が終わりに近づく州知事はこのように認めた。「ポリスは堂々たるキャンペーンを率いてきました。あまり左派に寄りすぎた印象もありません。それに、私は彼が反企業的だとは決して思いません」

「州外に住む人々の多くがデンバーとその周辺に流れ込んできたおかげで、コロラドはより民主党支持へと傾いています」。元フロリダ州知事ジェブ・ブッシュのキャンペーンを率いてきたコロラド出身のティム・ミラーは言う。「こうした流れは、トランプのキャンペーンがアメリカ北中西部で成功したことに対する嘆きの声として増幅してきました。だからと言って、州の人口の20パーセントがヒスパニック系であり、本当の失業率が原則としてゼロであることとは呼応しません」。ブッシュ一族とのつながり以上に、ミラーは共和党の戦略家であり、頻繁にトランプを批判してきた人物でもある。「でも、コロラドの共和党が死滅したわけではありません」。選挙を語る上で避けては通れない例の州を挙げる前にミラーはこのように主張した。「コロラドは、まだカリフォルニアにはなっていないのです」

Translated by Shoko Natori

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