故クリス・コーネルの未亡人が医療ミスで医師を提訴

ヴィッキー・コーネル

クリス・コーネルの妻ヴィッキー・コーネルは、亡きサウンドガーデンのヴォーカリストである夫に抗不安薬を過剰処方したと医師を提訴。薬物依存を抱えていた夫に医師が自殺のリスクを高める薬物を過剰処方したと主張する。

サウンドガーデンのヴォーカル、故クリス・コーネルの妻ヴィッキー・コーネルは、「無頓着にも夫に繰り返し危険な向精神物質を含む薬物を与え続けた」としてロバート・コブリン医師を医療ミスで告訴した。「こうした薬物によって夫の認識力が損なわれ、最終的には自殺につながる危険かつ衝動的な行動に走ってしまった」とコーネル夫人は主張した。

ローリングストーン誌が入手した訴訟によると、コブリン医師は2015年9月からクリスが命を絶った2017年5月までの間に940錠以上もの抗不安薬ロラゼパム(別名Ativan)を処方したとされている。それだけでなく、訴訟にはクリスへの診察もなく、研究所による臨床試験の実施やクリニックによる臨床的評価が一切ないオキシコドンという薬物を処方したことも指摘されている。複数の告発事項には、怠慢、インフォームド・コンセント(説明と同意)の欠如、さらには意図的な違法行為も含まれる。

ヴィッキー・コーネルの代理人はコメントを差し控えた。コブリンとともに被告の側にいるカリフォルニア州ビバリーヒルズのRobertson Cardiovascular Centerもコメントには応じなかった。

コーネル夫人の訴訟では、コブリン医師がクリスにロラゼパムの副作用の可能性を警告しなかったことが挙げられている。ロラゼパムは、正常な判断や合理的な思考を損なわせ、衝動をコントロールする力を減少させる一方、薬物依存を抱える人間の自殺リスクを高める作用のある薬物だ。今回の訴訟では、薬物依存を専門とするセラピストを通じてクリスを紹介された医師が、クリスが「薬物依存を抱える人間」であるのを知っていたことが焦点となっている。さらには、監督者不在のなか、医師ではないスタッフにクリスの処方箋の多くを書かせたとも主張している。

ヴィッキー・コーネルはこれまでに何度も夫の自殺の原因が薬物の過剰処方によるものであると訴え続けてきた。自殺の数時間前にクリスと交わした会話を思い出しながらコーネル夫人は言った。「夫が早口で何を言っているか、わかりませんでした。いつもと違ったんです。ロラゼパムを1、2錠多く飲んでしまったかもしれないと彼が言うと、セキュリティに連絡して彼をチェックしてもらおうとしました。起きてしまったことはあまりに不可解で、今後の医学報告がもっと詳しい情報を提供してくれることを期待しています」

公表された検視と毒物報告の結果によれば、死亡時のクリスの体内には7種類の薬物の痕跡が見受けられた。そこには多量のロラゼパムも含まれていた。それでも、検視官はクリスの死因は自殺であり「薬物によって引き起こされたものではない」と主張した。

Translated by Shoko Natori

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