米中間選挙:民主党の「青い波」が押し寄せるも、共和党が上院を死守

8年ぶりに下院議席を奪還した民主党(Photo by Mario Tama/Getty Images)

ブルー・ウェイヴ(青い波)が議会での共和党支配を打ち破った。連邦議会下院の選挙戦で民主党が勝利を収めたのは、ペンシルベニア州、バージニア州、フロリダ州、コロラド州など。このままいけば24席以上の議席獲得はほぼ確実、2010年以来久々に議会下院で過半数を得ることになるだろう、とNBCニュースが伝えた。

ちなみにNBCの報道よりも先にこのニュースを報じたのはFOXニュースの選挙報道チームだった。召喚状請求を盾に、民主党はいま、トランプ大統領に対する決定的な抑止力となり、司法と憲法両方の面で大統領の責任を追及してゆくだろう。

民主党の勝利は、虚偽や恐怖に対する事実と希望の勝利でもある。下院選で有権者たちは、中南米からやってきた子ども連れのキャラバンにテロリストや警察殺しの侵略者たちという烙印を押し、最後の手段として排斥志向に打って出たトランプ大統領の戦略にノーを突き付けた(あまりにも人種差別的な選挙CMは、FOXニュースからも締め出しをくらった)。

2018年の中間選挙での勝利は、確実とは程遠いものだった。たいてい大統領の第1期は野党が議席を獲得するものだが、トランプ大統領には心強い好材料があった。景気は順調、株式市場も大きく上昇し、失業率は50年ぶりに低下。だが民主党は、2018年中間選挙を「第45代大統領に対する国民投票」と位置付けることで成功を収めた。

嘘つきで人差別的でナルシストなホワイトハウスの住人に対抗し、祖国の為に蜂起せよという呼びかけは、過去に例を見ない前衛的な国民参加を生み出した。ウィメンズマーチに始まって、下院議会選予備選挙を経て、期日前投票へ。選挙期間終盤にはバラク・オバマ氏にジョー・バイデン氏、オプラ・ウィンフリーまでも、民主党候補者の応援にかけつけ、大統領選挙さながらの盛り上がりを見せた。

政策に長けた共和党も、選挙戦で民主党に強力な口実を与えてしまった。共和党が推し進めた税制改革案は、富裕層や企業に恩恵を与えたものの、賃金増加をもたらすことはできず、それどころか国家の赤字を膨れ上がらせた。一方で民主党優勢の州では、共和党が代表をつとめる選挙区の有権者たちが増税に苦しんだ。オバマケアに対する共和党の攻撃も多くの害をもたらし、共和党の候補者は医療保険制度改革、いわゆるオバマケアの撤回という使命について虚偽を並べ立てはじめた。おかしな話だが、自分たちはある特定の条件を満たしたアメリカ国民の権利の庇護者だと打ち出した。

Translated by Akiko Kato

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