米中間選挙:民主党の「青い波」が押し寄せるも、共和党が上院を死守

民主党支持者は、「共和党寄り」と呼ばれた選挙区で激戦を戦い、数々の不利な選挙戦を勝ち抜いた。その結果、五分五分といわれた選挙戦は最終的に民主党の手に陥落した。だが議会下院に打ち寄せる波は、テキサス州で打倒テッド・クルスを掲げるベト・オルーク氏が長期戦の末に敗れ、インディアナ州とノースダコタ州では共和党が議席を奪還したことで、議会上院という紅海に道を阻まれてしまった。

政治的には、民主党にとって下院議席の奪還は毒にも薬にもなる。2018年の勢いは、今日から始まる2020年大統領選活動へとつながっていくだろう。議会での権力を掌握した民主党は、トランプ大統領の職権乱用に光を当てようとしている。最終的にはトランプ大統領の所得申告書を白日の下にさらすことができるかもしれない――彼の資産がどれほど脱税や一部ロシアの政治家と絡んでいるかを暴くことになるだろう。また、トランプ一家の内輪びいきや個人取引に歯止めをかけることができるかもしれない。一家は臆面もなく、大統領という地位から利益を得ているのだ。もはや弾劾も不可能ではない。

だが、民主党の勝利はトランプ大統領に好材料も提供した。彼はいま、政界に逃げ道を手に入れたのだ。トランプ大統領は今後、得意とするジャイアン発言を駆使し、泥沼化した議会内の不和の元凶は民主党の妨害だと息巻くだろう。分断した現在の政治情勢では、こうした状況がすぐに改善するとは思えない。トランプ大統領は2016年の大統領選で得た票を失った理由として、不法移住の有権者たちに関する陰謀説を持ち出したが、今後も民主党が過半数を占める下院の評判を貶め、正当性がないと言いがかりをつけてくることが予想される。

上院・下院と二分した勝利――民主党は上院での過半数を維持した――が意味するところは、トランプ大統領の繁栄期、血気盛んな若い保守派であふれる議会は、間違いなく今後も続いていくということだ。

Translated by Akiko Kato

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