ヴィンス・ステープルズとマック・ミラーは特別な絆で結ばれていた。ピッツバーグ出身のミラーは駆け出しのヴィンスを支え、音楽を一生続けていくことに疑問を感じたヴィンスを励ました。
ビッグ・ボーイとのラジオ・インタビューで、ステープルズはマックとの出会いをこう語った。「俺たちはスタジオにいた。アール(・スウェットシャツ)に言われて彼の家に行ったら、『なんで曲を作らないんだ?』ってマックに聞かれたんだ。その2日後、あいつは俺をスラムから連れ出したんだ」とステープルズ。
2人の友情はやがて「Stolen Youth」というコラボレーションに発展した。このミックステープが生まれたのは、ステープルズがミラーに、他のプロデューサーだといいビートが出ないんだと不平を漏らしたのがきっかけだった。アルバム『Swimming』をリリースしたミラーは、ラリー・フィッシャーマン名義でステープルズをアシストした。「マックは根がいい奴なんだ。あいつは俺の親友の一人だ」と、彼は2013年のインタビューでも語っていた。「俺は友達が多いほうじゃない。不思議なもんだよ、最近会ったばかりの男が、俺の音楽仲間で一番の友達になったんだから」
ビッグ・ボーイとのインタビューの後半、ミラーに体に気をつけろというような会話をしたかと尋ねられたステープルズは「いつもさ」と答えた。9月、マックはフェンタニールとコカインの過剰摂取により命を落とした。
「あいつも努力してた。俺たちにできることは頑張れって言うことだけだよ」と彼は続けた。「いつも上手くいくってわけじゃない。ぶっちゃけ、いい奴はいつも死んでいく。ストリートからいなくなっちまう。後々ふりかえれば、ああそうだったな、と思うけど、俺は全然心配していなかった。もちろん気にはしてたけど、そこまで心配はしてなかったんだ」