小出祐介×福岡晃子が独占全曲解説 多彩な問題作『マテリアルクラブ』に迫る

『マテリアルクラブ』のアートワークより

Base Ball Bearの小出祐介が立ち上げた、ソロでもバンドでもなく、ユニットでもなくグループでもない新たな音楽プロジェクト「マテリアルクラブ」。福岡晃子(ex.チャットモンチー)を制作パートナーに迎え、2人の持つ多面的な音楽性が万華鏡のように様々な表情を見せるセルフタイトル作『マテリアルクラブ』を11月7日にリリースしたばかりだ。

今までにない2人のこのモードはなんなのか? 成田ハネダ(パスピエ)、吉田靖直(トリプルファイヤー)、TOSHI-LOW(BRAHMAN)、女優・岸井ゆきの、Mummy-D(RHYMESTER)、Ryohu(KANDYTOWN)、髙橋紘一&谷本大河(SANABAGUN.)という多彩な客演たちと織りなされる1曲1曲、それらが詰め込まれたこの1枚のアルバムは一体なんなのか?

今回Rolling Stone Japanでは小出と福岡の2人による『マテリアルクラブ』の全曲解説を独占公開。バックグラウンドで『マテリアルクラブ』を流しながら、ぜひ2人の言葉を読み進めていってほしい。

1.Nicogoly 「マテリアルクラブの自己紹介ソングですね」(小出)



小出:マテリアルクラブの自己紹介ソングですね。マテリアルクラブは何をどういう哲学でもって作っているのかというのを歌っています。固有名詞連発の歌詞も、ラップだからこそできる表現だと思います。あっこのボーカルもとてもいいです。こういうあっこの歌が聴きたかった(笑)。

福岡:制作と並行してこいちゃんが歌詞を書いてくれたんですが、まさに今起こっている現象を歌詞にしている、という内容だったので驚きました。マテリアルクラブのテーマが盛り込まれているし、1曲目に丁度いいコスプレ感の曲だと思います。なぜか「ラッパーの彼女」という設定で歌ってくれと言われました。

2.00文法 「同じバンドメンバーではないのが功を奏した」(福岡)



小出:元々まったく別の曲調だった曲を作り変え、あっこがこのトラックを仕上げてきたとき、この人すごいな!と感心しました。で、そのトラックに僕がまたまったく別のメロディを直感で乗せて出来たのがこの曲です。マテリアルクラブ初期のケミストリーでした。

福岡:同じバンドメンバーではないのが功を奏したのか、こいちゃんが作ってくれた原曲を躊躇なくリアレンジできました。お互い煮詰まりそうだった頭を切り替えるきっかけになったと思います。リアレンジによって生じた猛烈に細かい打ち込みの整頓作業は全部こいちゃんがやってくれました(感謝)。

3.閉じた男 「吉田くんはもっている男です」(小出・福岡)



小出:トリプルファイヤー吉田くんとあっこの3人でブースの中で飲み会(約6時間)をやって、その音声すべて収録。後日シラフの状態で聴き直して、面白かった部分をサンプリングして作りました。楽しくてプレッシャーもない、新たなレコーディング方法を発見しました。M9“Curtain”と、内容が偶然符合するというマジックも。吉田くんは本当にもっている男です。

福岡:ベーシックオケは私が作って、それの上にこいちゃんがいろんなアイデアを乗せてきてくれました。デモ段階でだいぶ完成していたのでレコーディング本番でデモを越えられるか不安でしたが、結果は3倍増しの出来でした。吉田くんはやはりもっている男です。

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