マーベル・ヒーロー生みの親スタン・リー氏逝去、貪欲に物語を作り続けた人生

脚本家、編集者、マーベル・コミックの元発行責任者兼社長、スパイダーマンの共同発案者でもあるスタン・リー氏が95歳で死去 (Photo by Ron Galella, Ltd./WireImage)


リーは1972年ハリウッドに拠点を移し、時たま手掛けていた連載の脚本の仕事からも退いて、マーベルの広告塔としての役割に身を落ち着けた(かれはうかつに共同制作者を称賛することはせず、マスコミは共同制作者たちを持ち上げた。これが、アーティストの功績を横取りする男、というリーの評判をさらにあおった)。やがて「スタン・リー提供」というフレーズがマーベル・コミックのあらゆる作品の表紙に登場するようになり(マスコミの報道によれば、彼は1冊も読まなかったそうだが)、巻末には「スタンの石鹸箱」と題した月1のおしゃべりコラムが加わった。

キャリア後半の40年間、リーは時折シルバーサーファーやスパイダーマンの単発作品のほか、いくつか他の作品でも脚本を書いたが、どれも特筆に値するものではなかった。それでも彼は、ありとあらゆるものに自分の名前を売り込んだ。2000年にインターネット製作会社スタン・リー・メディアが倒産してからは、とくに顕著になった。全米ホッケー・リーグからリンゴ・スターに至るまで、誰とでもコラボレーションした。だが何よりも、自分から巣立っていった作品にご祝儀を贈った。マーベル・コミックが下敷きとなった映画にはほぼ毎回カメオ出演し、アニメ版『スーパーヒーロ・スクワッド・ショー』では市長役の吹き替えを担当。90歳を過ぎてもコミック・コンベンションには必ず出席し、ファンの秘蔵バックナンバーに喜んでサインした。彼が作り上げたキャラクター同様、自らも進んで人々から愛されるキャラクターとなったのだ。

晩年は、彼の生み出したキャラクターは映画市場を席捲したものの、実生活では資金面の問題が報じられたり、娘J・Cと元ビジネスマネージャーを老人虐待で訴えるなど、準中満帆とはいかなかった。2017年、70年連れ添った妻ジョアン・リーが他界すると、外部の人々が彼の遺産目当てに寄ってきた。

10月、数か月ぶりにインタビューに応じたリーは、老人虐待の訴えについて語り、娘の世話を受けていることを明らかにした。「私が書いたキャラクターのなかに、ハルクがいる。私は全部ひとりでこなした。支払いを済ませ、帳簿もつけた。全部ひとりでこなしたんだ。でも、ちょっとずつ金が入ってくるようになって、助けが必要だと思った。信用できる人間に任せようと。それが私の犯した大きな間違いだった」とリー。「最初に雇った人間は、本当は信頼するべき人間ではなかったのだよ」

DCコミックスはリーの逝去の知らせを聞き、以下のようなツイートを投稿した。「彼はヒーローの在り方を変えた。現代のコミック史に、彼の名前は永遠に残るだろう。周りを巻き込む彼の情熱は、我々がなぜそもそもこれら物語に惹かれたのか、その理由を教えてくれた。エクセルシオール、スタン(訳注:エクセルシオールは生前のスタンの決め台詞だった)」

マーベル・シネマティック・ユニバースのプロデューサー、ケビン・ファイギも以下のようにツイートした。「マーベル・スタジオでの僕のキャリアと仕事において、スタン・リーほど大きな影響を与えてくれた人はいない。スタンは、人類に語り継がれる稀有なレガシーを残してくれた。彼の娘さん、ご遺族、そして何百万人ものファンにお悔やみを申し上げます。#ThankYouStan #Excelsior!”」

2015年のローリングストーン誌との取材で、仕事を続けられる秘訣を尋ねられたリーはこう答えていた。「貪欲だからさ。単純に欲深いんだな。いやまじめな話、物語を作るのが好きなんだ。幸いにも、年をとってもできることだし。ハルクみたいに超人でなくても、物語を考えることはできるんだ」。

Translated by Akiko Kato

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