ーなんでも題材になるのは確かにですが、元々KREVAさんはそうした着眼点が冴えてますよね。これまでの曲でも「こんな切り取り方があるんだ!」って刮目することが多々ありました。
切り口勝負(笑)。「着眼点」も漢字三文字だね。
ー「存在感」っていう曲名なんて初めて見ましたし、この曲自体の存在感がすごいですよ。<存在感はある でも代表作が出てないような気がした>で、どうするって曲ではなくてその事実だけを置いてこの曲は終わっちゃう。それがだいぶ新しいと思いました。
なんだそれっていうね(笑)。俺も「健康」ができた時、これ(<結局やっぱり最後は健康>)言っちゃったらあともう言うことないなと思いました。
ーだからか、歌詞は繰り返しのフレーズがとても多いですよね。
もう瞬間の思いつきをパッケージするってことに重きを置いてたんで、必然的にそうなりました。もちろん世の中的にヒップホップとかダンスミュージックでそういうのが多いっていうのももちろんあったと思うんですけど、自分の感覚的にも忘れないようにずっと頭の中でそれを言ってスタジオまで行くんです。「結局、やっぱり、最後は、健康……これだ!」って。それでリピートが増えたと思います。
ー言いたいことは、曲名以上でも以下でもないんだなと受け手としては感じましたが。
言いたいことって2種類あると思っていて。例えば「飲酒運転絶対反対」みたいな訴えたいメッセージと、「カプリコ」みたいな、口が気持ちいいから言いたい言葉。俺の場合はその後者で。「『存在感“は”ある』と『存在感“が”ある』の違いってすごい大事だよね」っていうメッセージを発したいわけじゃなくて、口が「存在感」って言いたかったっていうほうが大きいですね、自分の中では。ほかの曲もだいたいそんな感じです。
ーああ、なるほど。「健康」もとにかくフロウで魅せてる曲だなと思いましたし。
世の中の、健康に気をつけてる人たちはあんま聴いてなさそうな曲ですよね(笑)。
ーええ(笑)。この曲、聴いてるとドーパミンみたいなものが出てアガってきます。
トリップ感はありますよね(笑)。だから自分でもビックリしてます、だいぶクールな“健康”だなあって。とにかく早く形にしかったから、こうしてやろう、ああしてやろうってあんまり考えずにつくった結果がそれだったんですよね。