完全1人ツアーに臨むKREVAが語る、揺らぎの最適解「MPC3000」

ーでも不思議なのが、ただ口が言いたいことを吐き出した「存在感」なのに、KREVAさんが歌うとメッセージ的にも聞こえてくるんですよね。このビートに対してこの字数って、普通のラッパーはなかなか間が持たないと思うんです。KREVAさんならではのスタイルの曲にちゃんとなってる。だからKREVAさんから「存在感はあるのに代表作が出てない」アーティストを指摘してるのか? いや、KREVAさん自身のことなのかも?と思わされました。

みんなそう言うんだけれど、作ってる時は完全に他者に対して言いたいこと言ってやろう!ってモードで、終わってから「これ、……って言ってる俺のことみたいだな」って思ったような感じで。でもきっとそれも面白いと思ったのかな。みんなが、俺が俺のこと言ってるように聞こえたとして、そんなん(KREVAに)言われたらほかのラッパーどうすんのよ、みたいに思うっていうのが面白いだろうなっていう目論みも、きっとあったんじゃないかな。作ってる最中は夢中で、あとからいろんなことがわかってきましたね。

ーとにかく早く形にしたかったっていうのも、今思えば何か動機があったんですかね。

俺、トラックはサクサク作れていっぱい作り溜めてあるタイプなんですけど、何か作って置いといたらまた1つストックが増えるだけになっちゃうじゃないですか。形になってるものが欲しかったんだと思います。あと、YouTubeとかで機材の操作してる動画を見るのが好きなんですね。例えばレコード3枚買ってそれから曲を作るっていうシリーズとか、10分間でどこまで曲作れるかっていうシリーズが特に好きで。そういう影響もあって1日で形にしてみようって思ったんじゃないかな。

あ、今気がついたけど、そのたくさんあるトラックから、自分のアルバム曲になったのもあるし、KICKのアルバムにも使ったから、ストックの中からピックアップして直すっていう作業を1年間に2回やったんですよね。それで面白味を感じなくなって、まったく違うことをやりたくなったのかもしれないです。ずっと同じ工程でできる人、すごいなあと思います。

ー例えば山下達郎さんなど、どんな職人的アーティストでも、時代の変化や新機材の登場によって作り方を変えざるを得なくなったと言います。同じ手法で作り続けるのはそもそも無理があるのかもしれませんね。

達郎さんや他のミュージシャンの方って楽器をプレイできるじゃないですか。それに比べて俺みたいにプレイできない人間は、テクノロジーの進化を受け入れて、世の中に紹介してやっていくのが大事だと思ってるし、そうしないと自分が発展しないんですよ、プレイしないから。だから(新機材については)大賛成だし、楽しい時代だなと思います。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE