完全1人ツアーに臨むKREVAが語る、揺らぎの最適解「MPC3000」

KREVA

2018年、1年半ぶりの新作『存在感』を完成させた後、KICK THE CAN CREW×岡村靖幸によるコラボシングル「住所 feat. 岡村靖幸」をリリースし、恒例の主催フェス『908 FESTIVAL 2018』を開催。精力的な活動を続けるKREVAが、12月10日から「完全1人ツアー2018」をスタートさせる。

あらためて振り返ってみると、新作『存在感』は“個”にフォーカスを絞ったKREVAが一つの高みを示したものだった。2019年にはソロデビュー15周年を迎えるKREVA。今回、そんな彼の表現の核に迫ったインタビューをお届けする。

「存在感」について

―「存在感」、すごい作品が届いたなというのが率直な感想で、KREVAさんのいちファンとしてうれしくなりました。

ああ、それを聞けて嬉しいです。ありがとうございます。

―資料に「辿り着いた『個』の境地」とありますが、その通りフォーカスをグググッと絞った視点で作られた作品なんですね。

そうですね。1stシングルから考えると逆三角形になってきてるっていうか。最初はすごく世の中に向けてて、前作「嘘と煩悩」でやっと“俺と君”みたいな感じになって、ついにもう“俺”だけになってしまった。そんなイメージですかね。それは「歌詞を書く対象が俺になった」というよりも、「俺が俺のために作った曲」。それを言い換えた言葉が「辿り着いた『個』の境地」なんだと思います。

―「俺が俺のために作る」ようになったのは、意図的にそう変化させたんですか?

えっと、今年の1月ぐらいに、20何年も曲作ってて初めて、あんま面白くないなと思ってしまって。「嘘と煩悩」出してツアーやって、そのツアーの最終日にKICK THE CAN CREW復活を発表して、すぐKICKのアルバム出して、またツアーやって1年終わったから、アウトプットが多かったのか出し尽くしちゃった感覚になって。歌詞書こうと思っても全然出てこないし、あんなに楽しかったトラック作りまであんまり楽しくなくなってきて。でも一応スタジオには毎日行って、レコードの整理したりスタジオの片付けしたりしながら、どうにかこのターン抜け出したいなと思ってたんですね。それで、作り方を変えてみようと思って。

ーはい。

今まではトラック作ってそこに言葉を乗せてたけど、逆に、口をついて出てきたものに曲をくっつけるっていう流れをやってみようと。で、なるべく1日で完成させるって決まりをも作って。それで一番初めにできたのが「健康」だったんですね。これ、人に聴かせる気とか全くゼロ。作ったあと1回も聴くことなくほったらかし。とにかく曲を完成させるっていうことが大事だと思ってたんですね。

ーなんか荒療治みたいですね。

そう(笑)。で、その次に出てきたのが「存在感」。存在感はあるけど大して実績を残してない奴とかにグサッと来るようなこと思いっきり言ってやれ!と思って。これも1日で完成させたんですよ。で、あんまり聴かずに(笑)。とにかく早く形にしたかったんですね。そうすることで先に進めるんじゃないかと思って。だから世に放とうとか、これが世の中にどう響くかとか、全然考えてなくて。でもスタッフとミーティングした時に「曲はあるけど暗いから聴かせるものじゃない」って言ったけど、聴かせたら「いや……暗くないですね」って。そういう流れから出ることになりました。

ー収録曲5曲ともそういう作り方をしたんですか?

はい。こういう「言いたいことを先に」っていう作り方ができるんだっていうのは勉強になりました。「百人一瞬」と言いたいだけで曲は作れるのか?っていう。それを1日で形にしようと思ったら、歌詞なんて考えないっていうのも変ですけど、考えずに出てくる言葉、自分個人が今まで培ってきたもので勝負するしかない。「俺の好きは狭い」も1週間のうちに何回かそう言ってる時があって、じゃあこれ曲にしよう、「俺の好きは狭い」って言葉に合うメロディはこんな感じかな、それにコード付けて……っていう進め方でしたね。この方法で得た、なんでも題材になるっていう感覚は次に生きてくるんじゃないかなと思います。

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