ヨギー、King Gnu、MONO NO AWAREらが出演「Scramble Fes 2018」レポート

メインステージ、サブステージと交互にライブは進行。続いても京都在住のバレーボウイズ。総勢7人が所狭しとサブステージに並んでの演奏だ。“合唱系ノスタルジック青春歌謡オーケストラ”との異名を持つだけあって、赤いドレスを着た紅一点のヴォーカル、オオムラツヅミが素足で床を踏み鳴らしながら、“ダンス”というよりは“土着の舞踏”とでもいうべき所作を一心不乱に繰り返す中、90年代オルタナティヴ・ロックやプログレ、サイケ、民謡、お囃子などを“闇鍋”で煮詰めたような、摩訶不思議なサウンドを次々と繰り出していく。四畳半のアパートから着の身着のままやってきたような、男子メンバーの出で立ちもユニークだった。


Photo by Megumi Suzuki

まるで新宿のアングラ劇を見ているようなバレーボウイズが終わり、メインステージではMONO NO AWAREがおもむろにリハーサル(音出し)を開始。まだ本番も始まってないのに、オーディエンスに(フェス名にちなんで)「スクランブル!」と大声で叫ばせるなど、早くも会場を一つに束ねていく。そしてそのまま1曲目の「機関銃を撃たせないで」。ソリッドで奇天烈なロックンロールがフロアを揺らしていく。かと思えばファンクチューン「窓」では、押し寄せるようなウォール・オブ・サウンドが聴き手を圧倒。「そういう日もある」や「イワンコッチャナイ」など、思わず声に出して言いたくなる、不思議な言語センスが炸裂していた。


Photo by Megumi Suzuki

「リハーサルからオーディエンスを魅了する」という意味では、続く中村佳穂もその1人。ピアノを弾きながらモニターチェクをしているかと思いきや、即興と思しき歌詞を突然紡ぎだし、食い入るように見守るオーディエンスに向けて、まるで挨拶のように歌いかけていく。今や引っ張りだこのギタリスト、西田修大(吉田ヨウヘイgroup)ら4人のサポート・メンバーを率いてのパフォーマンスは「圧巻」の一言。ハスキーでソウルフル、そして何故か耳にすると泣きたくなるような不思議な歌声が、心の一番深いところへストンと落ちていく。ゾクゾクするほどソウルフルな「get back」、ジョニ・ミッチェルをも連想させる「忘れっぽい天使」など、3日後にリリースされるセカンド・アルバム『AINOU』からの楽曲を次々と歌い上げていく。個人的には彼女のパフォーマンスが、この日のハイライトだった。


Photo by Megumi Suzuki

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