コモンが慰問ライブを続ける意味とは? 米国最大の女子刑務所で見たもの

コモンのパフォーマンスが、米国最大の女子刑務所の受刑者に喜びと希望をもたらした。(Photo by Sadé Clacken Joseph)



刑務所の職員がローリングストーン誌に語ったところでは、受刑者たちは特にこの2週間素行が良かったという。そうすれば、コンサートに参加させてもらえるからだ。中庭にいる800人前後の受刑者たちを見る限りでは、お行儀よくするのにことさら苦労したとは思えない。みんなかなり興奮していた。セルフィーこそしないものの、一般のコンサート会場の観客となんら変わりはない。最年長の受刑者らも、椅子に座ったり歩行器の助けを借りて、コンサートの始まりを待っていた。

「さあ行くぜ、CCWF!」と、バンドの演奏をバックにコモンがステージに飛び出す。受刑者たちが設営を手伝ったステージだ。陽の光が群衆を照らす。「みんなと出会えて光栄だ」と、「ザ・ピープル」の歌詞の合間に彼が叫ぶ。タトゥーを入れた女囚たちはまるでビートルズのファンのように叫び、両手を前後に激しく振った。


Photo by Sadé Clacken Joseph

「昨日は(ヴァレー州立刑務所で)タリブ・クウェリが共演したんだ」と、パフォーマンス終了後にコモンが教えてくれた。「彼は、『おい、こんな感じになるなんて思わなかったぜ。よくよく考えてみたら、みんな携帯を持ってないんだよな。だから、ただその場でじっと聴いてるんだ』って言ってた。彼女たちの存在と喜び、演奏を心から堪能してくれる姿――だから俺も、彼女たちのために全力を出したくなるんだ」

バックシンガーのムシィーナがアリシア・キーズの「ユー・ドント・ノウ・マイ・ネーム」を熱唱。続くラブソング「カム・クロース」ではメアリー・J・ブライジのパートを見事に再現した。コモンは受刑囚のひとりをステージに上げ、彼女に向かってラップを披露。曲の終盤では、跪いてプロポーズまでしてみせた。その後彼はステージを降り、観客の中へ入って行った。たいての人々は触れたがらない彼女たちを、彼はパフォーマンスしながら抱きしめた。

全14曲を歌い上げ、グレーのTシャツは汗で黒ずみ、「Believe Women」の文字も判別できなくなっていた。シャツを着替えてブレイクをはさんだ後、コモンは、スタッフ曰く今回のツアーでは最初で最後のアンコールを行った。ショウの締めくくりは「ビー」、そしてジョン・レジェンドとの共作でオスカーを受賞した「グローリー」。ジョン・レジェンドのパートはムシィーナが歌った。

ツアーバスに戻ったコモンは、何か賞を受賞したかのような喜びに満ちていた。「彼女たちの肩の荷もすこし軽くなったかな」と、息を整えながら言った。「自分を開放して、自由な気持ちになれたと思うよ。これまで行ったどの刑務所でもみんな、これが生まれて初めてのコンサートだっていうんだ」

終身刑囚のマカリクスは語る。「またコンサートに行けるなんて、思ってもみなかった。このコンサートは、私に2度目のチャンスをくれた。自分も許してもらえるんだと思わせてくれた。だって、外の世界にいる人が、私のことを人間として気にかけてくれたんだもの」

Translated by Akiko Kato

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