ローリング・ストーンズとビル・ワイマン再結成エピソードを回想

ミック・テイラーは2013年から2014年にかけてバンドとともにツアーを回り、バンドも徐々に「スウェイ」「キャン・ユー・ヒア・ミー・ノッキング」そしてフィナーレ「サティスファクション」などの演奏を彼に任せるようになっていった。だがビル・ワイマンは、ロンドン公演以降一度も姿を現していない。この先も復活するつもりはないようだ。「あれは1回限りだ」と本人。「たったの5分間だぜ。OK、でもこれっきりだ。後悔はしてないよ、俺たちはいまでもいい友人だしね」

だがその数年後、ワイマンはその友情を危機に陥らせた。ミック・ジャガーとキース・リチャーズとの偶然の出会いから、のちにローリング・ストーンズ結成へと至ることになったダートフォード駅に、記念の銘が掲げられることになったのだが、ワイマンはClash Music誌とのインタビューで不満を漏らした。もともとバンドを立ち上げたのはブライアン・ジョーンズで、彼がミックとキースを引き入れたという事実が覆い隠されてしまっったかのように感じたのだ。「これは間違ってる。俺はこういうのが大嫌いなんだ、みんな自分の都合のいいように歴史を変えちまう」と本人。「絶対におかしい。ガタイのいい奴を2~3人引き連れて、銘板を引っ剥がして、電車でロンドンに戻ってこようかとも考えた。今でもやってやろうかと本気で考えてる。だって、こんなの絶対おかしいぜ」

こっそり銘板をはがすというワイマンの脅しは冗談のつもりだったとしても、ミックとキースには通じなかったようだ。「ミックがある日俺のところに来て、『おい、このたわごとどう思う?』って訊いてきた」と、リチャーズはエスクァイア誌に語った。「ビルは変わり者で、おかしな野郎だったけど、なぜあんなコメントをしたんだろうな。たしか、ビルはペンジという町の出身だったから、ミックはあの後メッセージを送ったはずだ。『いいかビル、もし仮にだ、お前がローリング・ストーンズの創始メンバーだって書かれた銘板がペンジ駅に掲げられたとして、俺たちが文句言うと思うか?』 だけどビルは、ああ、あいつのことは本当に大好きだ、本当にいいベースプレイヤーだった。俺たちは奴に出ていけなんて言った覚えはないよ」

現在は両サイドともにわだかまりはなさそうだが、2019年のストーンズのツアーにワイマンが同行するとは期待しないほうがいい。だが少なくとも、銘板はいまもダートフォード駅にそのまま残っている。少なくとも今のところはまだ、ワイマンと彼のいかつい仲間たちは銘板をはがすには至っていない。

Translated by Akiko Kato

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