レッド・ツェッペリン「天国への階段」で使用されたコンソールがオークションへ

(Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images)

レッド・ツェッペリンの『レッド・ツェッペリンIV』やボブ・マーリーの『キャッチ・ア・ファイアー』制作中に使用されたレコーディング・コンソールが12月にオークションに出品される。

「天国への階段/Stairway to Heaven」が収録されてレッド・ツェッペリンの『レッド・ツェッペリンIV』やボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの『キャッチ・ア・ファイアー/Catch a Fire』のレコーディングで使用されたコンソールが12月にオークションに出品される。

このヘリオスセントリック・コンソールは2台のヘリオス・コンソールを合体させたものだ。一つはアイランド・レコーズのベイジング・ストリート・スタジオ2(現サーム・ウエスト・スタジオ)のヘリオス・コンソールで、もう一つはスペース・スタジオにあったアルヴィン・リー所有のヘリオス・コンソール。この2つを1996年にエルヴィス・コステロとスクイーズのクリス・ディフォードが、ヘリオス・エレクトロニクス社の創業者リチャード(ディック)・スウェッテンハムの力を借りて連結させたと、オークションハウスのボナムズが公開した資料に記載してあった。

ベイジング・ストリート・スタジオ2のヘリオス・コンソールは著名なエンジニアのフィル・ブラウンが定期的に使用していて、『レッド・ツェッペリンIV』やマーリーの『キャッチ・ア・ファイアー』と『バーニン/Burnin’』、スティーヴン・スティルズのセルフタイトルのソロ・アルバム、デヴィッド・ボウイの「ホリー・ホリー/Holy Holy」、エリック・クラプトンの「アフター・ミッドナイト/After Midnight」、ハリー・ニルソンの「ウィザウト・ユー/Without You」、ジミー・クリフの「Many Rivers to Cross(原題)」など、数多くの有名ロック曲のレコーディングに使用された。

一方、スペース・スタジオのヘリオスでレコーディングを行ったアーティストには、ジョージ・ハリスン、スティーヴ・ウィンウッド、ミック・フリートウッド、ロン・ウッドなどがいると、ボナムズは説明する。この2台のコンソールが合体した後は、イギリスのライにあるディフォードのスタジオに設置され、ペット・ショップ・ボーイズ、ポール・ウェラー、シーア、キーンなどがレコーディングに使った。



「このコンソールがイギリスのロック・シーンとポップ・シーンで果たした役割の大きさは計り知れない」と、ボナムズのクレア・トール=モールが言う。

そして、「これは完全にユニークで、単体でも非常に影響力のある重要なコンソールが2台合体しているわけで、合体後は近年とても人気のあるバンドのレコーディングにも貢献している。このオーダーメイドのコンソールでレコーディングされた楽曲やアルバムも、コンソール自体のオリジナルパーツも、現存する音楽作品や機材の中でも最も認知度が高く、愛されてきたものばかりだ。さらにこのコンソールを使って作られた作品の多くは、グラミー賞やブリット・アワードを受賞し、音楽チャートの1位を獲得したものもある。つまり、このコンソールはイギリスの現代文化の歴史を作った機材の一つというわけだ」と続ける。

ロンドンのボナムズがこのコンソールをオークションにかけるのは12月11日で、最高額での落札を目指す。そうなると、このヘリオスセントリックは過去2年間にオークションで落札されたレコーディング・コンソールで2番目に高価なものとなる。レコーディング・コンソールの最高値を記録したのは、2018年3月にボナムズに出品されたEMI TG12345MK IVコンソールで、これはピンク・フロイドのアルバム『狂気/The Dark Side of the Moon』のレコーディングに使用された。予想落札価格70万ドル(約7,960万円)を大きく上回る180万ドル(約2億450万円)で落札されている。

Translated by Miki Nakayama

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