ガンズ・アンド・ローゼズ『チャイニーズ・デモクラシー』知られざる10の真実

8. 野球の殿堂入りを果たしているマイク・ピアザは、『チャイニーズ・デモクラシー』収録曲「I.R.S.」をラジオにリークした

2003年9月にニョーヨーク・メッツのキャッチャー(GNRの大ファンとしても知られる)、マイク・ピアザがラジオ出演した際に「I.R.S.」をリークしたことは、『チャイニーズ・デモクラシー』にまつわる不可解なエピソードのひとつだ。全米で放送されるWAXQ-FMの『Friday Night Rocks … With Eddie Trunk』に出演したピアザは、その数週間前に匿名で送られてきたという「New GNR」と記されたCDの収録曲をプレイした。そのCDには他にも完成済みの新曲が2つ収められていたと言われているが、同番組でピアザがプレイしたのは「I.R.S.」のみだった。

放送直後、同局には問い合わせの電話が殺到した。GNRのマネージメントは、事態を耳にして激怒したという。「曲をもう一度かけてほしいというリクエストが、何千人ものリスナーから届いていた」WAXQの番組ディレクター、Bob BuchmannはMTV Newsにそう話している。「バンドのマネージメントから苦情が来ていたから、応じるわけにはいかなかったけどね」

そのCDがピアザの手に渡った経緯についてBuchmannは、バンドに近い人間がメタル愛好家として知られる彼のもとに送りつけたのだろうと推測した。「マイクが大の音楽好きだってことは有名だからね」BuchmanはMTV Newsにそう語っている。「筋金入りのファンがバンドから未発表音源を受け取ることは少なくないけど、マイクはその対象としてトップ10に入るだろうね」

9. 『チャイニーズ・デモクラシー』のリリースを意図的に妨害したとして、アクセルは自身のマネージャーを提訴している

度重なるメンバーチェンジ、それに伴うレコーディングのやり直しに端を発したゲフィンとの確執を経て、『チャイニーズ・デモクラシー』は2008年11月23日に満を持して発表された。同作はBillboard 200で第3位を記録したものの、お世辞にも大ヒットとは言えない結果だった。突出したシングル曲の欠如、Best Buyのお粗末なプロモーション戦略、主要メディアの取材に対するアクセルの消極的姿勢、アルバムリリースツアーを開催しなかったことなど、同作のセールスが伸びなかった要因は様々だが、アクセルは自身のマネージャーであるIrving Azoffが、アルバムのリリースを意図的に妨害したと主張した。

2010年5月、本誌はアクセルがAzoffのFront Line Managementに対して、500万ドルの損害賠償を求める裁判を起こしたと報じた。アクセルは2008年にバンドのマネージャーとして雇われたAzoffが「大規模なツアーを目前にしてバンドを見放した」上に、「オリジナルメンバーでのGNR復活を実現させる目的で、ローズと現在のバンドメンバーたちの成功を妨害する計画を企てた」と主張した。またアクセルはAzoffがBest Buyとの取引を妨害し、より多くの収益が見込めるであろうオリジナルメンバーでのGNR再結成ツアーを実現する目的で、彼がアルバムの収録曲を意図的にリークしたと非難した。2011年には両者の間で示談が成立している。

10. 『チャイニーズ・デモクラシー』の続編にあたる作品は、現時点で既に発表されているはずだった

2014年6月、アクセルは近い将来に『チャイニーズ・デモクラシー』のリミックスアルバム、そして同作の続編にあたる作品が発表されると明かした。「あのアルバムの制作過程で、俺たちは数え切れないほどの曲をレコーディングした」彼はそう話している。「収録曲の別バージョンや、未発表の新曲も幾つかある。『チャイニーズ・デモクラシー』には続編があって、レコーディングもとっくに終わってる。あと『チャイニーズ』のリミックスアルバムもあるんだ。完成したのは結構前なんだけどな」

そのニュースは決して意外ではなかった。2000年に行われた本誌インタビューで、アクセルは既に『チャイニーズ・デモクラシー』の続編の構想について口にしていた。また同作の収録曲「ソーリー」でバッキングヴォーカルを務めたセバスチャン・バックは、2007年に行われたMetal Edge誌とのインタビューで、アクセルが既にアルバム4枚分に相当する楽曲を録り終えており、『チャイニーズ・デモクラシー』は3部作の第1作目にあたると発言している。

これもまた驚くべきことではないが、アクセルの発言から4年以上が過ぎた現在でも、どちらの作品も世に出ていない。2016年には初期メンバーであるスラッシュとダフ・マッケイガンがバンドに復帰したが、『チャイニーズ・デモクラシー』セッションの未発表音源についての続報は届いていない。すべてはアクセルの気分次第なのだろう。

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