R・ケリー被害女性たちの真実を描いた新作、試写会当日に発砲予告で中止

R・ケリーの被害者女性たちを描いたドキュメンタリーが制作された(Photo by Shutterstock)

R&B歌手R・ケリーによる性的、精神的、性的虐待の容疑に関する一部始終に迫った、近日公開予定のドキュメンタリーシリーズ『Surviving R. Kelly(原題)』。試写会イベント当日、身元不明の男性により中止を要請する発砲予告の脅迫を受けていたことが明らかになった。R・ケリーの元妻ドレアは、銃による脅しは「火に油を注ぐだけ」というコメントを発表した。

米現地時間12月4日火曜日の夜、米テレビ局Lifetimeが近日放送予定のR・ケリーのドキュメンタリーシリーズをマディソン・スクエアのシェアオフィス、“ノイエハウス”で上映しはじめてからおよそ20分後、上映が突然中断されると同時に場内の照明がついた。R&B歌手R・ケリーに向けられた様々な性的、精神的、性的虐待の容疑に関する一部始終に迫った全6部からなるドキュメンタリーシリーズの一部を観ようと、ドキュメンタリーにも登場している生存者の7名を含んだ100名ほどの観客によって会場は埋め尽くされていた。イベント主催者が場内の観客を避難させようとするなか、身元不明の男性が会場に何度も電話をかけ、ドキュメンタリー上映を続けるのであれば、場内にいる人物が銃を発砲すると従業員を脅していたことが参加者に明らかになった。

上映に参加していたR・ケリーの元妻ドレア(アンドレア)・ケリーは、イベントへの脅しとそれによる中止は「私たちが何か偉大なことを成し遂げようとしていることの証」だと発言した。「思わず笑顔がこぼれそう。だって私たちが正しい道を歩んでいることが証明されたんだから」とドレアはローリングストーン誌に語った。さらに「私たちの声に耳を傾けるよう、人々に呼びかけているの」と加えた。今回のプロジェクトと深い関わりを持つある人物がローリングストーン誌に提供した情報によると、上映イベントを再び開催するかどうかはまだ未定のようだ。それでも、2019年1月3日に全米でプレミア上映される3夜連続の6時間にわたるドキュメンタリーシリーズを目前に、今回の脅しが「火に油を注ぐだけ」である理由をドレア自らが語ってくれた。

上映イベントの夜は、ようやく舞踏会に行けるシンデレラのように魔法にあふれていた。だって、私たちがこれまで流した涙、感じた痛み、これまでの記憶を再びたどることで、こうしたものが何のためにあったかを目の当たりにできる場所にようやく来ることができたんだから。人生が変わる瞬間のように感じられたし、私たちの物語に耳を傾けようとイベントに参加してくれたサポーターも息を飲んでじっとしていた。ドキュメンタリーがはじまって、場内にいろんな感情が波のように押し寄せた。場内に平和と恐怖が同時に入ってきたような感覚だった。多くの女性にとって、こうした形で自分たちの姿を見るのはその日が初めてだったから、「よし、耐えるんだ、これが終わったら本当に『すべては終わったこと』って言えるようになる」と思いながら心の痛みと戦っていたんだと思う。

すると、突然の中断。ドキュメンタリーがはじまって20分が経ったところで場内の照明がついたの。みんな混乱して、きっと技術面でのトラブルだろうと思った。そして誰かが入ってきて観客を避難しはじめた。誰にも不安を抱かせず、落ち着いた状態ですべての観客を避難させたのは見事だった。大混乱にだってなり得たから。

Translated by Shoko Natori

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