ローリングストーン誌が選ぶ「2018年ベスト・メタル・アルバム」トップ20

18位 アット・ザ・ゲイツ『トゥ・ドリンク・フロム・ザ・ナイト・イットセルフ』

アット・ザ・ゲイツが1995年の最高傑作『スローター・オブ・ザ・ソウル』を上回るものを出すことは決してないだろうが、彼らが挑戦するのを聴くのは間違いなく楽しめるだろう。トータルで6枚目、2010年に再結成してからは2枚目となるこのLPには『スローター』にあった勢いよく内臓を揺らすようなリフと、突き抜けるようなソロに少し変化を加えたような曲が12曲収められている。しかしそれを特別なものにしているものこそ、このアルバムのおもしろさなのだ。他の誰が「トゥ・ドリンク・フロム・ザ・ナイト・イットセルフ」のような陳腐なフレーズを使って、それを最高のデスメタルのパーティ・アンセムにしようなんて思うだろう? それがそこまで安っぽく聞こえもしない。そしてそれは「ダガ―ズ・オブ・ブラック・ヘイズ」(ゴシックでゆっくり歩くようなミドルテンポの激しい曲)や「ア・ラビリンス・オブ・トゥーム」(ハイテンポのバトルクライ曲)のような、同じくとぼけたようなコンセプトの曲にも当てはまる。結成から30年近く経って、彼らは自分たちのヴァイブを見つけ、それを貫いているのだ。



17位 フロンティアラー『アンラヴド』

デリンジャー・エスケイプ・プランが解散してしまった今、おそらく世界一荒々しいマスメタル・バンドであろうこのスコットランド出身の“ノイズ数学”グループは、圧倒的な音作りとメルトバナナのレーザーノイズのようなギターのうねりで大きな賭けに出た。ドラマーを初めて起用したアルバム『アンラヴド』は、拍子が生む混乱と激しいノイズロックの情動が合わさった嵐である。



16位 トゥーム・モールド『マナー・オブ・インフィニット・フォームズ』

トロント出身の4人組バンド、トゥーム・モールドのドラム/ヴォーカル、マックス・クレバノフの獣のようなうなり声がバンドをデスメタルと調和させている一方、彼らの2枚目のフルアルバムがこんなにもスリリングであるのはリフのおかげである。その怪奇なクランチ、重い刻み、叫ぶような高音、うねりがこの長尺である7曲のほぼ毎秒を占めている。破壊的なブラストビートはバンドの攻撃性の要ではあるがスピードの爆発感はいつもテンポの遅いブレイクダウンと合っているし、さらに有名なアンダーグラウンドメタル界の影のインフルエンサー、アーサー・リズクのばかげたほどヘヴィなミックスによってより一層重厚になっているのだ。これをどう呼ぶかは聴いた人次第だが、このアルバムはとにかくロックしている。



15位 アイドルズ『ジョイ・アズ・アン・アクト・オブ・レジスタンス』

ブリストル出身の過激なメッセージを歌うアイドルズの2枚目のアルバムはギャング・オブ・フォーのスタイルを受け継ぎ、ポスト・パンクにコンヴァージのようなバンドのブルータルなヘヴィさを加えたようなものになっている。明らかにポリティカルで、しかしメディアや皮肉によって混乱しながら、彼らは中指を立て眉をつり上げてマッチョな社会に挑んでしているのだ。反性差別、反ブレグジット、反憎悪である『ジョイ』はハメを外したパーティであり毒抜きでもあり、「俺はストーン・コールド・スティーブ・オースチンのようだ/俺は同性愛差別者を棺桶に入れる」(「コロッサス」)や「このsnowflake(感情的な人、左翼の人を指すスラング)は雪崩だ」(「アイム・スカム」)のようなフレーズによってきらめいている。このアルバムの脆弱な核はソロモン・バークの「クライ・トゥ・ミー」のザ・バースデイ・パーティ的なカヴァーまでへと広がっている。


Translated by Takayuki Matsumoto

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