テクノロジーの進化で見えてきた「エンターテインメントの未来」

ヴァーチャル・リアリティの進化
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Courtesy of The VOID

ヴァーチャル・リアリテイの意義を疑問視する人々は少なくないが、Void社はそういった声を一蹴してみせる。設立から4年目にして世界中に8つの支社を構え、今後5つの支社設立を予定しているという同社は、『ゴーストバスターズ』から『スター・ウォーズ』まで(来年にはマーベル・スタジオ社とのコラボレーションを控えている)、映画の舞台をまるで現実のように体感することができる360度型VRシステム、”Hyper-Reality”の開発を進めている。約6メートル四方の体験ルームに入るにあたって、プレイヤーはVRヘッドセット、ノイズキャンセリングヘッドフォン、そしてワイヤレス式の触覚フィードバックベスト(銃弾の衝撃からエレベーターの昇降時の感覚までを再現可能)を着用する。ヘッドセットを通して目にする風景の精巧さには驚くが、何よりもリアルさを感じさせるのは五感への刺激だ。火山の噴火口付近での戦闘時には焼け付くような熱風を浴び、硫黄の強烈な匂いが鼻をつく。ミッションについて指示を出すドロイドに触れる場合、プレイヤーは目的に応じた形状のものに触れる感触を覚える。Void社のクリエイティブ部門を担うCurtis Hickmanは、そのテクノロジーは様々な用途に応用が可能だと主張する。「危険を伴う作業の仮想体験などにおいて、VRは絶大な効果を発揮します。Void社はあらゆる感覚を刺激する、真にリアルなヴァーチャル空間を生み出すことができます」ー Paul Katz

顔認識カメラにご注意
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Illustration by Taylor Callery for Rolling Stone

5月18日にローズ・ボウルで行われたテイラー・スウィフトのコンサートにおいて、特設スペースで彼女のリハーサル映像に目を奪われたオーディエンスは、そのディスプレイに埋め込まれた顔認識カメラに写真を撮られていることに気付かなかっただろう。マディソン・スクエア・ガーデンやロサンゼルスのザ・フォーラム等、大型コンサート会場のコンサルティングを担当するOak View Groupのセキュリティ部門を束ねるMike Downingによると、それらの写真はナッシュビルにある施設に送られ、ポップスターのストーカーとしてマーキングされている人物の顔写真と照らし合わされるという。「来場者がそのスペースに設置されたディスプレイを見ると、顔を認識するソフトウェアが起動する」その特設スペースを設置した会社に招かれたDowningは、デモ段階の同システムの動作を現場でモニターしていたという(スウィフトの代理人からのコメントは得られていない)。明らかなプライバシー侵害であるにもかかわらず(その写真の所有権のありかや保存期間等、不透明な点は尽きない)、大型コンサート会場では顔認証システムの導入が進められているが、その目的はセキュリティの向上だけではない。今年前半にTicketmasterは、0.5秒間のうちに歩行者の顔を認識するセンサーを開発したとするスタートアップ、Blink Identityを買収した。Ticketmasterはそのテクノロジーによって来場者のエントリーが円滑化されるほか、VIPゲストをスムーズに招き入れることができるとしている。「このシステムは大きな可能性を秘めています」Ticketmasterのプロダクト部門を仕切るJustin Burleighはそう語っており、来年上旬には同システムがいくつかの会場で試験的に導入されるという。「システムの設置場所と実践方法について、我々は細心の注意を払っています」ー Steve Knopper

本物のサンダードームへようこそ
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The Madison Square Garden Company

もしあなたが億万長者で、世界一大胆で先進的なコンサート会場を作るとすれば、それは一体どのような姿をしているのだろうか?Madison Square Garden ComapnyのCEO、ジェームス・ドーランが9月にラスベガスで発表した「157,000台の全方位型スピーカー、3.5エーカーに及ぶ超ハイレゾ球状ディスプレイ、そして振動するフロアをフィーチャーした巨大ドーム」という構想は、世界中の人々の度肝を抜いた。まさに未来のコンサート会場、MSG Sphereの詳細はここで確認できる。ー Brian Hiatt

Translated by Masaaki Yoshida

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