フィロソフィーのダンスの「有機性」を体感、ツアー初日レポート

フィロソフィーのダンス(Photo by 立脇卓[田中聖太郎写真事務所])

女性4人組グループ、フィロソフィーのダンス(以下「フィロのス」)のライブツアー『Girls are Back In Town Vol,2』が、12月16日の東京・品川プリンス ステラボールを皮切りにスタートした。

本ツアーは、2018年初夏に行われた『Girls are Back In Town Vol,1』の続編となるもの。開場前のフロアには、ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」やカニエ・ウェストの「Power」、ダフト・パンクの「Get Lucky」といったBGMが流れていたが、そんな選曲が象徴するように彼女たちのファン層は、ロックTシャツを着た中高年から、90年代ファッションに身を包んだ若者たち、フィロのス公式Tシャツで揃えたグループまで本当に多種多様だ。

客電が落ち、まずはバンド・メンバーの宮野弦士(Gt, Key)、福田裕彦(Key)、久次米真吾(Gt)、砂山淳一(Ba)、城戸紘志(Dr)、早藤寿美子(Per)がステージに登場しセッティング。すると、外国人MCのデイヴィッドが現れ、長年JB’Sの司会を務めた今は亡きダニー・レイよろしく観客を煽りまくる。それに呼応するようにバンドがファンキーな演奏を繰り出し、4本のスポットライトに照らし出された奥津マリリ、日向ハル、佐藤まりあ、十束おとはの姿にファンのヴォルテージが一気に上昇。まずは、今年8月にリリースされたシングル曲「イッツ・マイ・ターン」でこの日のライブがスタートした。甘くメロウな歌声の奥津、アイドル直系のスウィート・ヴォイスを持つ佐藤、生粋のアニメ声の持ち主である十束、そして、ソウルフルでハスキーな歌声と、並外れた歌唱力でフィロのスを引っ張る日向。セクションごとに4人がソロを取っていくこの曲は、それぞれの声の魅力を紹介していくのにうってつけだ。


奥津マリリ(Photo by 立脇卓[田中聖太郎写真事務所])


佐藤まりあ(Photo by 立脇卓[田中聖太郎写真事務所])

間髪入れずに「すききらいアンチノミー」へ。洗練されたコード進行と、軽やかなギター・カッティング、スリリングなストリングス・シンセがたまらなく心地よい。マイケル・ジャクソンの「Rock With You」を彷彿とさせるハーモニーを散りばめるなど、遊び心溢れるアレンジにもニヤリとさせられる。複雑に絡み合うヴォーカルや、目まぐるしく変化していくダンス・フォーメーションにあっけに取られていると、「みなさん、好きに踊ってください。お願いします!」と日向がオーディエンスに呼びかけた。

ミドル・ファンクチューンの「スーパーヴィーニエンス」、山下達郎の「Ride On Time」のメロウネスにも通じる「ロジック・ジャンプ」、サビの駆け上がるようなファルセット・ヴォイスが印象的な「フリー・ユア・フェスタ」とさらに畳み掛け、イントロが鳴り出した瞬間に歓声が上がった「アイム・アフター・タイム」では、サビ前の“あるわけもない!”をオーディエンス全員でシャウトするなど大いに盛り上がった。

激しいダンスと共に、6曲を歌いきったところでようやくMCタイム。それもつかの間、ぐっとテンポを落としたスロー・チューン「シャル・ウィ・スタート」で、熱気にむせ返る会場をチルアウト。「それではここで、ホーン・セクションの皆さんに参加してもらいます」と十束が呼び込み、MORE THE MANの小池隼人(Tb )、TRI4THの藤田淳之介(Sax, Flute)と織田祐亮(Tp)の3人が加わった。

「もうすぐクリスマスじゃないですか。実は私たち、クリスマス・ソングを持ってるんです!」と十束が続け、今回のツアーから初参加となる彼らと共に、軽快なシャッフル・ソウル「ネクスト・クリスマス」を披露。クリスマスツリーやトナカイに見立てたダンスを4人で踊ると、そのキュートな振り付けに会場からは大きな歓声が上がった。


十束おとは(Photo by 立脇卓[田中聖太郎写真事務所])


日向ハル(Photo by 立脇卓[田中聖太郎写真事務所])

前半のクライマックスはメドレー。まずは「バッド・パラダイム」でスタートし、突然ストップしたかと思いきや「ライク・ア・ゾンビ」の歯切れ良いピアノ・バッキングが流れ出す。迫力いっぱいのホーン・セクションと、とろけるような十束のキャンディ・ボイス、そのコントラストが新鮮だ。続く「バイタル・テンプテーション」では、イントロで自然発生的にコール&レスポンスが始まり、サビでは当然「ヒュー!」と掛け声がかかる。ホーン隊がステージ前方までせり出し、藤田と織田が「サンタが街にやってくる」や「ジングルベル」のフレーズをソロに忍ばせると、小池がトロンボーンで「お正月」を吹いてオチをつけ、会場は大きな笑いに包まれた。トドメはジェームス・ブラウンの「Sex Machine」もかくやと言わんばかりのイントロが炸裂する「エポケーチャンス」。メンバー紹介を交えながら再び「バッド・パラダイム」へと戻り、大歓声が響き渡る中メドレーは終了した。

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