ローリングストーン誌が選ぶ「2018年ベスト・アルバム」トップ50

6位 トラヴィス・スコット『アストロワールド』
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慢心ぶりが目立った2018年の音楽シーンにおいて、『アストロワールド』はその記念碑的アルバムだった。カニエ・ウエストが5枚のアルバムを通じて達成したことを、彼の被後見人は17曲に凝縮させてみせた。大胆かつ繊細でありながら、時に牙をむき出しにするトラヴィス・スコットは、トップクラスのビート、スマートなトランジション、そして豪華ゲストの数々を動員し、故郷であるヒューストンの過去と現在を描く一大絵巻を完成させてみせた。「この壮大なシット、束ね上げたのはこの俺」スコットは「シッコ・モード」でそう宣言してみせる。才能とカネを磁石のごとく引き寄せる稀代の才能が、今年度最高のラップアルバムを作り上げた。

5位 アリアナ・グランデ『スウィートナー』
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過去数年間、アリアナ・グランデの人生は波乱続きだった。彼女が経験した悲劇、傷心、そして愛する者の死がもたらした影響は、傑作『スウィートナー』の制作だけでなく、発表後のプロモーションにまでも及んだ。しかし、彼女はファレルとマックス・マーティンの力を借りて完成させた独創的R&Bポップによって、苦く辛い思いを甘美な喜びへと昇華させてみせた。フロア向けの「ノー・ティアーズ・レフト・トゥ・クライ」や、イモージェン・ヒープが作曲に携わった「グッドナイト・アンド・ゴー」は、キャリア史上最も実験的でありながら、かつてなくストレートに彼女の素顔を映し出している。ファンが彼女にむける思い、それはまさに「サンキュー、ネクスト」だ。

4位 ピストル・アニーズ『Interstate Gospel』
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ミランダ・ランバート、アシュリー・モンロー、そしてアンジェリーナ・プレスリーというカントリー界を代表する3人によるスーパーグループの3作目は、収録曲すべてにかつてない深みが備わっている。愛と結婚における暗い一面を描いた「Got My Name Changed Back」や、後悔の念を描いた「Best Years of My Life」「When I Was His Wife」には、3人それぞれの持ち味が見事に反映されている。さらにチャック・リーヴェル(オールマン・ブラザーズ・バンド)、ダン・ダグモア(70年代にリンダ・ロンシュタットを支えた)を擁する鉄壁のバックバンドは、ロックとカントリーの境界線を曖昧にしてみせる。

Translated by Masaaki Yoshida

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