ローリングストーン誌が選ぶ「2018年ベスト・ソング」トップ50

15位 ケイシー・マスグレイヴス「ハイ・ホース」

威勢を張る野郎どもを勇敢に、優雅に、ピシャリと叱り飛ばすディスコソングが、バーの店内に響き渡る。今年のマスグレイヴスは、鋭いジョークとフェミニストの強さ、そしてハッピーアワーの陽気さがあふれたミラーボール・アンセムを引っ提げて、カントリーの殻を破った。アメと鞭のバランスがなんとも絶妙。2018年のアメリカで、「口を開くたびに場の空気を台無しにしているのが誰か、みんな知ってるわ」という歌詞はまっすぐホワイトハウスへこだまする。野郎ども、気をつけな。彼女がやってくるよ。

14位 Sheck Wes「Mo Bamba」

激しいベースと唸るメロディーが凝縮した180度数のアルコールショット。2018年のストリートラップの代表作は、頭からこびりついて離れない。Sheck Wesは、金脈を掘り当てたことを知ったときの、アドレナリン全開の歓びをラップで(時にアドリブで)こう表現する。「ファック!シット!ビッチ!若いSheck Wesとは俺のこと、これでマジ金持ちになれるぜ!」タイトルは、ハーレム育ちのMCの幼馴染み、オーランド・マジックのセンターを務めるモハメド・バンバへのオマージュ。まさにダンクシュートな1曲だ。

13位 Snail Mail「Pristine」

「Pristine」は、今年最も印象的なデビューアルバムの中からひょっこり顔を出した、インディーズロックの一級品。出だしはそっけなく始まり、この後盛り上がりそうな予感をはらんだリフが続き、実際その通りに展開する。「正直に打ち明けるのが一番じゃないかい?」とリンジー・ジョーダンが歌い、ギターが切なく鳴り響く。彼女は歌詞の中で、退屈な世界で(「毎週同じ乱痴気騒ぎの繰り返しじゃない?」)こっぴどく振られたあとの心の動きを事細かに描き出す(「もう一生誰も愛さない」)。だが、決してやぶれかぶれではなく、音楽そのものがパワーと力を増すにつれ、怒りをエネルギーへと変えていく。やがて10代の不毛な時代のひとこまが、宇宙の中心であるかのように見えてくる。

Translated by Akiko Kato

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