ローリングストーン誌が選ぶ「2018年ベスト・ソング」トップ50

3位 カーディ・B「アイ・ライク・イット」

カーディが女帝たるゆえんは、口達者だからではない――ありとあらゆるポップミュージックを欲する、彼女の飽くなき好奇心ゆえだ。彼女は「アイ・ライク・イット」で自らのラテン系のルーツに立ち戻り、プエルトリコ人のラッパーBad Bunnyや、コロンビア出身のレゲトンスターJ.バルヴィンと組んだ。バックに流れるのは、ピート・ロドリゲスによる1967年のブーガルーの名曲「アイ・ライク・イット・ライク・ザット」から抜粋したサンプリング。カーディはお菓子でもつかむようにティンバレスのビートを刻みながら、ゲストルームを照らす――セリーア・クルスとジミー・スヌーカ、レディ・ガガをいっぺんに盛り込んだ曲がNo.1に輝いたのは、この曲だけだろう。

2位 レディ・ガガ&ブラッドリー・クーパー「シャロウ」

ガガ復活となったヒット曲「シャロウ」。もっとも本人は、「スターダム?私はただ、みんなにもう一度会いたかっただけ」と言っているが。『ジョアン』以来、ほぼ活動休止状態だった彼女が再び前線に戻ってきた。オスカー候補との呼び声も高いレディ・ガガとブラッドリー・クーパーがコンビを組んで、栄光の彼方へ誘う最強バラードを紡ぎ出し、アコースティックギターと声だけでスポットライトを独占した(歌っているのはほとんどガガだが、クーパーも貢献している)。『アリー/スター誕生』全体にいえることだが、「シャロウ」もまた、90年代が根強く残る王道ロックの夢の世界。だがどういうわけか、2018年に完全にマッチした。

1位 ドレイク「イン・マイ・フィーリングズ」

音楽業界がポスト・サマーソング時代に突入した直後に現れた、究極のサマーソング。典型的な甘いセレナーデをひっさげて、今年7月オーブリー・グラハムはNo.1の座をかっさらい、なんと2か月も首位をキープした――ドレイクにとっては今年2枚目のヒットソング、10週連続トップに君臨した。「イン・マイ・フィーリングズ」は、City Girlsや40、Blaqnmind、TrapMoneyBennyらの力を借りて、ニューオリンズ・サウンドに傾倒する彼の情熱を再び表現した。ドレイクは運命の女性への思いを吐露するが、当の女性はさっさと他の男に鞍替えし、彼のもとを去って行った。リル・ウェインやドラマ『アトランタ』をサンプリングし、ダンスの振り真似ブームも巻き起こした。さらには、謎のミューズ「キキ」の正体をめぐって派手な陰謀説まで飛び出した。だが結局いつもの通り、ドレイクはすべての人々をドレイク・モードに染める。彼にしかできない技だ。


Writers & Editors : SUZY EXPOSITO  & KORY GROW  & HANK SHTEAMER  & CHRISTOPHER R. WEINGARTEN

Translated by Akiko Kato

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