先日発表されたBuzzAngle社の年間調査レポートによると、2018年の音楽消費は大幅アップをしたが、CDアルバムやシングルセールスは壊滅的という結果が発表された。
2018年、米家電量販店Best BuyはCD販売の中止を決定した。一方レコードレーベルは、CDリリースそのものに消極的になってきている。この2つの出来事は、避けられなくなりつつある傾向の原因ともいえるし、結果ともいえる。つまり、音楽ストリーミングの台頭と同じスピードで、音楽販売もあっという間に時代遅れになりつつある。
音楽消費を調査するデータ会社BuzzAngle社が発表した、全米年間調査レポートによれば、2018年のアルバム販売枚数は前年比の18.2%、シングルの販売枚数は28.8%減少した。その一方で、オンデマンドの音楽ストリーミングは、オーディオ・動画合わせて35.4%増。オーディオ配信に関しては、2017年の3769億件から42%上昇し、過去最高の5346億件数達した。
絶え間なく再生される楽曲と、1回限りの購入を比べるという時点で、具体的な販売枚数をストリーミング件数と比較するのは容易ではないが、消費市場の他の尺度で見ると、全米でストリーミングがいかに実質セールスやダウンロードに取って代わりつつあるかがよくわかる。
例を挙げてみよう。シングル曲のダウンロードは現在も何億件単位に上るが、その規模はものすごい勢いで減少している。2018年、ミリオンセラーを達成したシングル曲は1枚もない。2017年は17曲、2016年は36曲、2015年は60曲あった。200万枚の大台に乗ったシングルは2017年が2曲、2016年が5曲、2015年は16曲。今年のセールス低調をさらに際立せる形となった。
音楽業界が販売重視ではなくなったことに加え、リスナーの嗜好性も影響し、小売業や購買者に連鎖反応が広がっていることによる音楽購入の人気衰退は、2018年の全アルバム消費のシェアにも如実に現れている(内訳にあたっては、ストリーミング1500件数をアルバム1枚、アルバム1枚をシングル10曲として換算)。アメリカの音楽ファンが昨年1年間に聞いた全楽曲のうち、77%はSpotifyやApple Musicなど音楽ストリーミングサービス経由によるもの。BuzzAngle社調べによれば、このうち実際にアルバムを購入したケースは全体の17.3%、シングルの場合入は5.7%。2017年に関しては、アルバムとシングルの販売枚数が占める割合はそれぞれ66%、24.6%だった。
いまだ拡大を続けるストリーミング業界のおかげで、音楽消費は全体として2年連続2ケタ成長を続けた。だが、「音楽消費」といったときに思い浮かべるものは永久に変わってしまい、過去の定義に戻る兆しは見られない。