ルーファス・ウェインライトが語る初期2作の軌跡、LGBTQを巡る変化とトランプ政権への回答

1998年のルーファス・ウェインライト(Photo by Catherine McGann/Getty Images)

3月28日(水)、29日(木)の2日間に渡って、デビュー20周年記念公演を行うルーファス・ウェインライト。11年ぶりのバンド編成でデビュー作『ルーファス・ウェインライト』と2作目『ポーゼズ』の楽曲が披露される同公演に向けて、昨年12月に実施されたオフィシャルインタビューが到着した。

―まずは今回のツアーを思い立ったきっかけ、殊に、最初の2枚のアルバムをセットにして聴かせようと思い立った経緯を教えて下さい。

ルーファス:2枚を一緒に披露しようと思ったのは、僕にはこれらのアルバムが、対を成しているように感じられるからなんだ。ほら、デビューして最初の2枚のアルバムというのは、そのアーティストの運命を決定付けるような作品だよね。より具体的に言うと、まず1stアルバムには、何年もかけて自分の表現を磨いた挙句に綴った、渾身の曲が収められている。つまり、自分以外の人は一切関知していない、全く未知の音楽をいきなり世界に送り出すわけだから、ある意味でアーティストが主導権を握っていて、有利な立場にあるよね。僕の場合、まさにそうだったんだ。しかも非常に恵まれた環境で、大手レーベルのドリームワークスと契約し、オーケストラと、素晴らしいプロデューサーと、素晴らしいミュージシャンたちの手を借りて、素晴らしいスタジオでレコーディングを行なった。でも2ndアルバムは違う。ここで本当の試練が待ち受けている。2ndアルバムが1枚の作品として十分な重みを備えているか否か、1stアルバムを聴いた人に発展的な音楽体験を与えられるか否か――というテストにパスしなければならない。僕は『ポーゼズ』でそれを実現できたと感じているし、これら2枚が僕のキャリアの核になってくれたと思うんだ。……いや、“核”と言うよりも、キャリアを軌道に乗せた“エンジン”だね。2枚を聴けば、僕がほかの人たちとは違う風変わりな試みを目論んでいることが、分かったはずだから。



―確かに当時のあなたは非常に風変わりな存在でしたが、その点は自分でも強く意識していたんですか?

ルーファス:そうだね。自分はユニークだと認識していたし、デビュー当時を振り返ると自分でも驚愕することがあって、それは、当時の僕が備えていた途方もない自信なんだ。自分がユニークだと分かっていて、それでいて、世界は自分を必要としていて、僕が伝えようとしていることには重要な意味があると100%確信していた。ただ自分の運命を全うしているだけで、全世界が僕の歌を聴くべきだと。尋常じゃない野心があったんだ。当時そういう野心を持ち合わせていて良かったと思うし、今は逆に、そこまで野心に振り回されていないことに、ありがたみを感じているよ(笑)。僕の野心は理解されなくて、傲慢な人間だとか、自信過剰でエゴが強い人間だとか、批判されたこともあった。でも、音楽的に非常にユニークであるだけでなく、当時の音楽界でゲイであることを公言する数少ないアーティストのひとりだったわけで、あれくらい強気で自信があったからこそ、生き延びられたと思うんだよね。しかも僕は自分の人生を無防備に曲にさらけ出していたし、現実に、エイズに死ぬんじゃないかと恐れてもいた。色んな意味でサバイバルの知恵だったんだ。自信が功を奏したのさ。それにしても、あそこまでの激しさが自分にあったことに驚かされるよ。



―しばらくソロでのツアーが続いたあとで、久しぶりにバンドを率いてのパフォーマンスをするのはいかがですか?

ルーファス:いい感じだよ。何しろ今回の僕には、ジェリー・レナードという素晴らしいミュージカル・ディレクターがいるからね。彼とは過去にも何度か組んでいるけど、デヴィッド・ボウイやスザンヌ・ヴェガとのコラボが有名で、音楽界では一目置かれている存在だし、バンドのメンバーも彼が中心になって集めてくれたんだ。だからほんと、最高だよ。これまで様々なメンバー構成のバンドとプレイしてきて、ここにきてようやく満足の行くコンビネーションに辿り着いた気がする。今のラインナップで作っている音楽には、すごく興奮させられるよ。それに、これらの曲は過去に繰り返しプレイしていて、僕も知り尽くしているだけに、非常に成熟してきたような感触があるんだよね。深みが増してきたと言うか。かつ、今の僕はこれらの曲を通じて何かを証明する必要もないわけで、純粋に音楽を楽しめるという点においてもエキサイティングだよ。

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