現代のアメリカ人は交通事故よりオピオイドで死ぬほうが多い

アメリカ国内の死因としてオピオイドの過剰摂取が交通事故を初めて抜いた。 (Photo by shutterstock)

全米安全評議会(National Safety Council/NSC)によると、1992年以降、予防可能な外傷による死亡率が96パーセント増加した。NSCが1913年に予防や回避が可能な外傷と死亡者数の統計をとるようになって以来、アメリカ国内の死因としてオピオイド(麻薬性鎮痛薬)の過剰摂取が交通事故を抜いたのはこれが初めてである。

NSCは統計的平均値に基づいて「死に至る確率」を算出するのだが、これは統計的平均値を分析が行われた年(今回の報告書では2017年)に誕生した人の平均余命で割って1年間の確率を出すという計算方法だ。心臓病(6人に1人)、ガン(7人に1人)、慢性下気道疾患(27人に1人)が上位3位を占め、次点が88人に1人の自殺、オピオイドの過剰摂取は全体で5番目に死亡者の多い死因となった。これはNSCが「予防や回避が可能な外傷による死」と分類しているカテゴリーでは死因ナンバーワンで、死亡する確率は96人に1人である。全体の死亡率で6位は自動車や二輪車などの交通事故死で103人に1人。そして銃による暴力で死亡する確率は285人に1人で全体の8位につけたことも注目に値する。

全米安全協議会の報道官モーリーン・ヴォゲルが、ローリングストーン誌に送ってくれたEメールで次のように説明してくれた。「多くのアメリカ人は相変わらずオピオイドの誤使用を抽象的な問題とみなしている。自分や自分の家族とは無関係だと信じているが、決して無関係ではないとこのデータが示している」と。

2018年に発表された2016年のデータを基に算出したデータでは、0歳から44歳までのアメリカ人の死因ナンバーワンは、薬物の過剰摂取と交通事故が含まれる不慮の外傷で、これはガンと心臓病を合計した死者数よりも多い。

2017年の死者数で見ると、予防や回避が可能な外傷で亡くなった人は16万9936人で、前年度の同じ死因の死者数より5.3パーセント増加しており、NSCが統計を取り始めた1992年と比べる96パーセントの増加である。

薬物の過剰摂取による死亡の増加が特に顕著で、この増加によりアメリカ人の平均余命が短くなったのも事実だ。またアメリカ合衆国保険福祉省所管の国立健康統計センターが分析した結果、自殺による死亡も3年間連続で増加している。

これらの分析結果を見ると、アメリカ国内のオピオイド危機が広範囲に広まっている危機的状況ということがわかる。オピオイドの過剰摂取による死者数が増え続けており、今ではアメリカ国内の主要な死因の一つとなっていて、96人に1人の確率で死ぬという状況だ。フェンタニルのような合成オピオイドが悪化する一方のオピオイド危機の主要因とされ、オピオイドの過剰摂取による死亡に最も関連するヘロインの単体使用による死亡者数を上回っていると、全米疾病管理センターが発表している。

NSCがこの統計報告を公開した背景には、アメリカ人に回避すべきものを知ってほしいという希望があり、「現実の死亡率を知ることが死因を回避する最初の一歩だ」と報告書にも記している。これが薬物の過剰摂取による死を防ぐ手立てとなることを祈ろう。

Translated by Miki Nakayama

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