ニューヨーク州知事が示した「NYマリファナ合法化計画」の全容

ニューヨークのアンドリュー・クオモ州知事(Photo by Drew Angerer/Getty Images)

米ニューヨークのアンドリュー・クオモ州知事は先週、施政方針演説の中で嗜好品としてのマリファナをニューヨーク州で合法化する計画を発表した。知事は大麻管理課の設置を提案。実現すれば全米初となる。

知事が提案する大麻規制課税法により、21歳以上の成人への販売は制限され、大麻所持罪による過去の犯罪歴は法的追及を免除される。また、新たな法のもとでは大麻所持は違法とは見なされない。これが実現すれば、最初の3年間で3億ドルの税収が見込めるという。

また法案では、大麻管理課を設立し、販売許認可、栽培、製造、流通、販売、課税の管理の集中化を図る。州政府の広報担当者はローリングストーン誌のメール取材に対し、「国内初の総合的な規制構造になるだろう」と述べた。法案の文面を見ると、「(大麻の消費において)節制の促進と普及を図りつつ、公衆衛生、公共安全、公共福祉の適切な保護と、社会的平等の実現が主たる目的」とのことだ。

「有色人種コミュニティに対する不均衡な負担を減らしましょう」。クオモ州知事は先週火曜日、予算演説中にこのように呼びかけた。「利益を追い求める大企業のためではなく、これまで代償を払ってきた貧困地域を活性化させるような産業を創生するのです」

クオモ州知事は12月、嗜好品としてのマリファナを擁護する立場を表明したが、少し前の2017年には、マリファナを「入門ドラッグ」と呼んでいた。大麻の合法化への支持と、大麻所持で逮捕されたニューヨーカーたち(その大多数が有色人種で占められる)の犯罪歴の無効化は、昨年の州知事選挙でクオモ州知事の最大のライバルだったシンシア・ニクソン候補が公約として掲げていたことだ。この選挙をきっかけに、クオモ州知事も立場を転換したようだ。

州知事の計画によれば、小売販売は非課税となるもが、販売店への卸売販売には20パーセントが課税される。また大麻栽培に関しては、乾燥花冠に関しては1グラム当たり1ドル、乾燥枝葉の場合は1グラムあたり0.25ドルが課税される。人口1万人以上の大都市では、自治体内での嗜好品マリファナの販売を禁止する条例を制定することにより、州の方針からの離脱を選択することも可能。推定3億ドルという税収は、離脱する自治体がなかった場合を想定して算出されている。

課税により得られた収入は、大麻制度の運営に加え、州知事が主催する交通安全委員会、中小企業開発補助金、ハームリダクションおよび精神疾患治療防止、公衆衛生教育指導、大麻使用と応用に関する研究にあてられる。

大麻規制課税法は、州知事の行政予算の一環として発表された。予算案は4月1日までに制定される見込み。予算案にはその他、いくつかの税改正や、「性的暴行およびセクシャルハラスメントの防止支援としてニューヨーク州条例を改正し、性犯罪の被害者による法的正義の追求を可能とする」。タイムズ・アップ・ニューヨーク州安全対策などが含まれている。TIME’S UP司法支援基金との提携により、第2級・第3級レイプ犯罪の時効が撤廃される予定(現在、第1次レイプに関しては時効なし)。また、守秘義務契約の例外措置として、政府機関への通報や捜査への協力を認めるなど、職場におけるハラスメント保護対策強化も目指している。

Translated by Akiko Kato

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