【密着ルポ】ディアハンターが明かす過去と現在「同世代で最もボウイに近いのは僕だ」

ディアハンターのブラッドフォード・コックス(Photo by Daniel Dorsa for Rolling Stone )


混沌から平穏へと向かった、バンドのターニングポイント

パンドは、2013年のグラムパンクの衝撃作『Monomania』がターニングポイントだと言う。「あの頃は本当に激しかった。僕は『なあ、この空気は持ちこたえられないよ』って感じで。みんな、それに気づいていたと思う」と(この頃に神経衰弱を経験したと話したことがある、コックスの当時の自分に対する評価はさらに辛辣だ。この日の夕方に『Monomania』について尋ねたとき、「ああ、あの頃の僕は精神を病んでいて、完全に正気を失っていたね」と答えていた)。

たとえそうでも、パンドは昔のディアハンターを懐かしんでいるようでもある。彼は、2008年の『Microcastle』と2010年の『Halcyon Digest』の頃に、グランドパークにあった寝室が4つの大きな家を、彼とコックス、それに複数のルームメイトとシェアしていたと言う。「僕が帰宅すると、家に必ず人がいて、かっこいい映画を見てたり、真夜中に誰かがドラムを叩きまくっていたりしたのさ。あの頃は常に自由気ままだった」

現在、既婚者となったパンドには子供が2人いる。若い頃のように強烈な刺激を受けることも少なくなっているらしい。「今の僕にとって大変なのが音楽を作ること。独身の頃は24時間いつでも使えたけど、子供が出来たおかげで時間に管理される人間になってしまった。そんな状態ではなかなか良い曲が書けないんだよ」と。


2018年12月、ブラッドフォード・コックス、ニューヨークにて。

コックスとル・ボンがリサイクルショップの入り口に戻ってくる。そろそろラーメン店に戻る時間だ。私がパンドに子供の年齢を訊いた途端、コックスは「ほらな、それが麻薬捜査官的質問ってやつだよ」と講釈する。

翌日、空港にいる私にコックスから電話がかかってくるが、これは間違い電話だとコックスが言い、そのついでというふうに、昨夜10時頃にスタジオから私を追い出したことを謝罪した。そのとき、彼とル・ボンは4〜5曲の未完成曲の作業を行っており、この作業が異様に盛り上がったのである。「つまり、昨夜君に対して野次ったりしてさ」とコックス。

Translated by Miki Nakayama

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