【密着ルポ】ディアハンターが明かす過去と現在「同世代で最もボウイに近いのは僕だ」

ディアハンターのブラッドフォード・コックス(Photo by Daniel Dorsa for Rolling Stone )


亡くなったジョシュ・フォーヴァーとの日々と、コックスが抱える孤独

昨日の自分が取り乱して見えたとしたら、それはここ2〜3週間行っていた新作『Why Hasn’t Everything Already Disappeared?』のプロモ活動が大変だったのと、ル・ボンとのスタジオ作業の最終日だったせいだと言い、「それに、友だちを埋葬したから」と、コックスがボソッと付け加える。

今回、コックスの取材で何時間も一緒に過ごしていて、彼がジョシュ・フォーヴァーについて語ったのはこれが初めてだ。フォーヴァーはディアハンターのベーシストとして5枚目のアルバムまで参加していて、バンドを離れて6年後の2018年秋に39歳の若さで他界した。11月にフォーヴァーが他界後、その詳細はほとんど外に漏れてきていない。コックスも元バンドメイトの家族を思いやってか、詳細を語ろうとしない。しかし、フォーヴァーのディアハンターへの貢献については喜んで語ると言う。フォーヴァーの参加はディアハンターが抑え難いクリエイティヴ・フォースとして世間に認知された頃と時期を同じにする。「あれはバンドの神話みたいなもので、みんなが公平に貢献していた。これは稀なことなんだよ。ジョシュは常に僕の決断に異論を唱えていて、僕は徐々にその価値を感じるようになった」

2012年、フォーヴァーがメールでディアハンター脱退を告げてきたとき、コックスは傷ついた。「僕は変化が嫌いだ。見せかけの変化や美しい変化なら好きだけど、永遠に続く変化は嫌いだ。だからジョシュの脱退は大嫌いだった。そして、今度は彼の死に言いようのない不安を感じている。世の中で一番心をかき乱すことだ」とコックス。


2009年のライブ映像。ディアハンターの代表曲「Nothing Ever Happened」で印象的なベースラインを弾いていたのもジョシュ・フォーヴァーだった。

この後も彼のおしゃべりは続く。古い映画のこと、母親のこと、自宅の自分とステージのペルソナを自分の中で折り合いをつける大変さを。「ロケットは自宅に戻って父親になれる。僕にはそんな環境はない。たぶん、それが自分の真実なのかもね。つまり、自宅に愛犬が一匹いるだけの寂しい男っていう」とコックスが言う。

最近、彼はアトラス・サウンド名義でもう一度ソロアルバムを作ろうかと考えている。2011年以来、アトラス・サウンド名義の作品は作っていない。「ここ何年もアトラス・サウンド作品を作る時間がないと言ってきたけど、今は時間があるんだ」と。

そのことについて考えると、彼はテレビドラマ『トワイライト・ゾーン』の古いエピソードを思い出すという。ある男が核攻撃による世界の終末を生き残るも、メガネが壊れてしまい、地球上にたった一人取り残されたのに大好きな本が読めなくなってしまう話だ。「あと、自叙伝のアイデアもあったよ」と悲しげに笑いながらコックスが続けた。「タイトルは『Time Enough at Last』かな」と。



<リリース情報>

ディアハンター 『Why Hasn’t Everything Already Disappeared?』

ディアハンター
『Why Hasn’t Everything Already Disappeared?』
発売日:2019年1月18日(金)
レーベル:Beat Records / 4AD
品番:4AD0089CDJP
価格:¥2,400

=収録曲=
01. Death In Midsummer
02. No One’s Sleeping
03. Greenpoint Gothic
04. Element
05. What Happens To People?
06. Détournement
07. Futurism
08. Tarnung
09. Plains
10. Nocturne

Bonus Tracks for Japan
11. Canal Plastics no. 1 (月が点灯したステージ)
12. Canal Plastics no. 2 (白い冬の珊瑚)
13. Canal Plastics no. 3 (武満徹の記憶)

Translated by Miki Nakayama

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