”人殺しの山”と呼ばれる、米国最大の大麻生産地「エメラルド・トライアングル」の謎に迫る

Netflixの新しいドキュメンタリー・シリーズ『マーダー・マウンテン:ハンボルト郡へようこそ』が、カリフォルニア州ハンボルト郡のミステリーに迫る。(Photo by Lightbox/Netflix)


作品は、2013年にハンボルト郡で失踪したギャレット・ロドリゲス(当時29歳)の捜索から始まる。失踪の約1年前にハンボルト郡へ来た彼は、儲けの大きな大麻取引のブラックマーケットに関わり始めた。その後、殺害されたと思われるギャレットの遺体が発見された。ゼーマン曰く、同地域の行方不明者数の多さには彼も注目したが、その全てが必ずしも悲惨な事件に巻き込まれる訳ではないという。ローリングストーン誌との電話インタヴューでゼーマンは、同郡ののどかで自然豊かな環境が、人付き合いを避けてひっそりと暮らしたいと願う多くの人々を惹きつけているという。「多くの人々が(ハンボルト郡で)行方不明になっているが、同時に発見される人も多い」と彼は証言する。「同郡は過去も現在も、俗世間を離れたいと思う人々の集まる場所だ。」

ハンボルト郡における9か月の撮影の間にゼーマンは、行方不明者だけでなくもっと興味深いストーリーの存在に気づいた。

1970年代初頭、ベトナム戦争からの帰還兵たちは、ハンボルト郡の森深い丘陵地帯に安息の地を求めた。彼らは俗世間を離れ、大麻でPTSDを癒すことができた。ハンボルト郡における旨味の多い大麻生産は、法執行機関と大麻生産者との間の長年に渡る激しい緊張状態を生んだ。1980年代に入ると、連邦と州レベルの法執行機関が共同で反大麻栽培キャンペーン(CAMP)を立ち上げた。結果、カリフォルニア州北部の一部を紛争地域へと変えてしまった。武装した州兵や麻薬担当警察官らを乗せた黒塗りのヘリコプターがハンボルト郡へ飛来し、栽培されている大麻草を片っ端から駆除した。兵士や警官は銃を突きつけて各住宅から家族全員を連行し、令状なしに家宅捜索を行った。平穏だったコミュニティが、崩壊してしまったのだ。

ゼーマンは『マーダー・マウンテン』の第2エピソードのほとんどを、ハンボルト郡における大麻栽培と、コミュニティvs.法執行機関の衝突の歴史に費やした。同エピソードでは、当時29歳のギャレット・ロドリゲスを含む人々の失踪・殺人事件が未解決なままの理由や、ハンボルト郡の特定地域が(ゼーマン曰く)“大麻を合法化できない連邦政府の無能さのせいで悲惨な紛争地域へとなってしまった”経緯が描かれている。

皮肉なことに、成人による嗜好用大麻の使用を認めた2016年のカリフォルニア州法(Prop 64)が、ハンボルト郡をまた新たな混乱に陥れた。郡税と州税、州への許可申請やコンサルタント料の合計額が年間何十万ドルにも上る可能性があると同時に、家族経営の大麻生産者にビジネスを止めさせるかブラックマーケットに留まるかの選択を迫ったのだ。

大麻に限らずメタンフェタミンやヘロインも違法取引の対象となってきている“マウンテン”では、多くのブラックマーケットが成長している。

Translation by Smokva Tokyo

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