エズラ・クーニグが語る、ヴァンパイア・ウィークエンドの帰還とニューアルバムの展望

ヴァンパイア・ウィークエンドのエズラ・クーニグ(Photo by Monika Mogi)

昨年のフジロック出演を経て、ヴァンパイア・ウィークエンドがついに再始動。バンドのフロントマン、エズラ・クーニグが新曲「ハーモニー・ホール」と、今春リリース予定のニューアルバム『ファーザー・オブ・ザ・ブライド』の制作背景をローリングストーン誌に語った。

34歳となったヴァンパイア・ウェークエンドのフロントマン、エズラ・クーニグは昨秋にポスト・マローンのヒット曲「サンフラワー」を聴いて、軽いパニックを起こしたという。「新作にも“Sunflower”というタイトルの曲があるんだよ」と、彼はその時の気持ちを教えてくれた。「やばい、このレコード早く出さなきゃ!と思った」と。

彼が言う「このレコード」とは、新作『ファーザー・オブ・ザ・ブライド』のことだ。バンドにとって6年振りの新作で、この春リリース予定である。クーニグが新作の曲作りとレコーディングに費やした期間は非常に長い。そのため、あちこちで奇妙な偶然の一致に遭遇する羽目になった。彼がおよそ3年前に決めたカバーアートが、カニエ・ウェストのTwitterの新しいアバターに似すぎているという偶然まで発生している。そんなことを経験しながら、クーニグが自分のソーシャルメディア・ページを見ると、そこには新しい音楽を求めるファンのメッセージが必ず届いていた。「笑っちゃうメッセージもあるし、犯罪のような怖さを醸すメッセージもある。でも、まだ僕たちの音楽を待っている人たちがいてくれて嬉しいよ」とクーニグ。

5年間で3枚のアルバムをリリースし、2013年の傑作『モダン・ヴァンパイア・オブ・ザ・シティ』でピークに達したあと、短い充電期間をとったのがすべての始まりだった。「12歳のときの夢日記があって、それに従って最初のバンドを始めた。そして、『モダン・ヴァンパイア〜』のツアーを終える頃には、その夢日記に記した夢をすべて実現していたんだ」とコーニグが教えてくれた。そこで、2015年はヴァンパイア・ウェークエンドの活動を休むことにした彼は、ロサンゼルスでNetflixのオリジナルアニメ『ネオ・ヨキオ』を製作した(それに加え、一つのツイートをビヨンセのアルバム『レモネード』収録のベストソングの一曲へと昇華させたり、カニエ・ウェスト主催の曲作りキャンプに参加したりもした)。

2016年初めに一緒にバンドを誕生させたロスタム・バトマングリが脱退すると、コーニグはバンドの次の一手を真剣に考えるようになった。そして、新鮮なインスピレーションを探し求めて、彼はDJダヒ(ケンドリック・ラマー『DAMN.』)、ブラッドポップ(ジャスティン・ビーバー「ソーリー」)などのポップス/ヒップホップ界のプロデューサーたちと仕事するに至る。「他の人とのコラボから、全部自分で作る状況に移るって正気の沙汰じゃないかもしれない。でも僕の場合は大丈夫だった。自分の役割は以前バンドでやっていたものと全く同じだから。つまり曲作りとヴァイブの指示。おかげでそれほど苦労なく移行できたよ」とクーニグ。

2017年になると、バンドは『モダン・ヴァンパイア〜』の共同プロデューサーであるアリエル・リヒトシェイドのもとに集合した。それから1年半、リヒトシェイドはコーニグの「アイデア、ビート、コード進行が入った巨大なバスケット」の整理をし、ヴァンパイア・ウェークエンドの楽曲へと形作る手伝いを行ったのである。新作からのリードシングル「ハーモニー・ホール」には地中海の島のように明るいピアノと元気のいいギターソロがフィーチャーされていて、その横でコーニグが「こんなふうに生きたくないけど、死にたくもない」と歌う。

Translated by Miki Nakayama

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